「均等ばく露作業」とは、金属アーク溶接等作業の方法が同じで、溶接材料・母材や溶接作業場所の違いが、労働者のばく露する溶接ヒュームの濃度に大きな影響を与えないことが見込まれる作業とされています。
言い換えると、ほぼ同じ溶接材料・母材を用いて、極端に離れすぎない作業場所で行われている、同じ原理の金属アーク溶接等作業が「均等ばく露作業」です。
「金属アーク溶接等作業」を行う労働者が2名以上の場合、そのグループが「均等ばく露作業」の作業者グループとなります。
ある工場建屋に複数の「均等ばく露作業」が存在する場合、「均等ばく露作業」ごとに測定を実施するのが望ましいです(下図のパターン2)。同じ金属アーク溶接等作業であっても、工場建屋が変われば別々の「均等ばく露作業」と考えるべきです(下図のパターン3)。
職場によってはさまざまな溶接材料(溶接棒)や金属材料(母材)が用いられ、その組み合わせは多数に及ぶと考えられます。
溶接材料や母材の全ての組み合わせに対して測定を行うことは、必須ではありません。
少なくとも実施するべきは、溶接ヒュームの発生が最も多く、健康リスクが最も懸念される「均等ばく露作業」での測定です。
その結果から選定した呼吸用保護具を、その作業エリアで行われる「金属アーク溶接等作業」に従事する、全ての労働者が着用すれば問題ありません。
ただし、同じ作業エリアで、溶接ヒュームの発生が明らかに少ない作業(測定した作業とは別の「均等ばく露作業」)があり、そちらではより軽い呼吸用保護具を使用したい場合等では、高濃度と低濃度のそれぞれの「均等ばく露作業」を対象に測定を実施、結果に応じた呼吸用保護具の選定・使用を進めるのが良いと考えられます。