アスベストが含まれる工場にはどんな特徴がある?対策や対処方法を解説

ラボテック工場

かつて建材として多用されたアスベスト(石綿)は、現在では重大な健康被害を引き起こす有害物質として使用が禁止されています。特に1960~1980年代に建設された古い工場では、断熱材やスレート外壁などにアスベストが含まれている可能性が高く、対策が不可欠です。本記事では、アスベストが含まれる工場の特徴や見分け方、調査・除去などの具体的な対処法について解説します。

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そもそもアスベストとは何?

アスベストとは、天然に産出する繊維状の鉱物で、日本語では「石綿(いしわた、せきめん)」とも呼ばれます。耐熱性・耐久性・絶縁性に優れた特性を持ち、かつては建材や断熱材、自動車部品など幅広い分野で使用されてきました。

しかし、アスベストの微細な繊維を吸い込むことで、肺がんや中皮腫といった重篤な健康被害を引き起こすことが明らかとなり、現在では使用が法律で禁止されています。特に工場では大量に取り扱われた経緯があり、適切な管理や除去が重要です。

なお、より詳しくアスベストについて知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
石綿(アスベスト)はどうやったら分かるの?どこにあるの?

古い工場は特に注意?アスベストが含有している建物の特徴3選

高度経済成長期に建設された工場には、アスベストが大量に使用されているケースが少なくありません。ここでは、特に注意すべき以下3つの特徴を紹介します。

  • 吹き付けアスベストが使われた耐火・断熱層
  • 石綿含有の保温材が使われた配管・ボイラー設備
  • スレート波板や外壁材に含まれるアスベスト

その他のさまざまな要素からアスベストを見分けたい方は、以下の記事も参考にしてください。

アスベストの見分け方と対処法のガイド

吹き付けアスベストが使われた耐火・断熱層

1956年頃から1975年頃まで、鉄骨の耐火被覆や断熱材として「吹き付けアスベスト」が盛んに使用されました。石綿とセメントを混ぜたものを専用機械で吹き付け、耐火性・防音性を高める目的がありました。

特に鉄骨構造の工場や倉庫では、目に見えない天井裏や壁内部に残存しているケースが多く、劣化すると石綿繊維が飛散し健康被害のリスクが高まります。封じ込め施工がされていても、経年劣化による影響は無視できません。

石綿含有の保温材が使われた配管・ボイラー設備

工場内の高温配管やボイラー周辺には、断熱性能を高めるためアスベスト含有の保温材が多用されてきました。特にアモサイト(茶石綿)を主成分とする保温材は耐熱性に優れていたため、化学プラントや大型ボイラーで広く使用されています。

これらは経年により外層が脆くなり、内部から石綿繊維が漏れ出すことがあります。外見上は劣化が分かりにくいため、専門的な診断なしでは危険性を見逃してしまう恐れがあります。

スレート波板や外壁材に含まれるアスベスト

工場の屋根材や外壁材には、「スレート波板」や「窯業系サイディング」といったアスベストを含んだ製品が数多く使われました。これらの建材は安価で耐久性に優れていましたが、築30年以上経過するとひび割れや欠損が起こりやすくなり、そこから石綿繊維が空気中に飛散するリスクが生じます。

とくに屋外で風雨にさらされた部分は劣化が進みやすいため、外壁・屋根の点検を怠ると知らぬ間に周囲に影響を及ぼす可能性もあります。

工場にアスベストが含まれている可能性がある場合の対処法

古い工場にアスベストが使われている疑いがある場合、正しい手順で調査・対策を行うことが重要です。誤った対応は、作業員や周囲住民への健康被害を拡大させる恐れがあります。ここでは、安全かつ確実な対処法を以下5つの流れに沿って紹介します。

  • 事前調査でアスベスト含有の有無を確認する
  • 専門資格を持つ調査員による正確な診断を受ける
  • 迅速な報告と適切な対策の提案を受ける
  • 手間をかけず丸ごとプロに任せる
  • 費用や納期も明確な業者を選ぶ

事前調査でアスベスト含有の有無を確認する

工場にアスベストが使われている可能性がある場合、まず必要なのは建材や設備の事前調査です。国の規制として、解体や改修工事前のアスベスト調査は義務化されています。

ラボテックなら、電話一本で調査員が現場へ駆けつけ、検体採取から分析、報告書提出まで一括対応します。事前調査を省略すると違法リスクが生じるため、早期対応が安全管理の大切なポイントです。

専門資格を持つ調査員による正確な診断を受ける

アスベスト調査は、専門資格を持つ調査員による実施が求められます。ラボテックには、特定建築物石綿含有建材調査者など国家資格を有するプロフェッショナルが多数在籍しています。

目視では判別できない微細な石綿含有を正確に診断するため、アスベストが工場や建物に含まれているか分かります。誤った判定は後の除去作業に影響するため、信頼できる技術者への依頼が不可欠です。

迅速な報告と適切な対策の提案を受ける

調査完了後は、迅速な報告と対策提案が重要です。ラボテックは業界最速クラスのスピードで分析結果を納品し、万が一アスベストが検出された場合も、除去や封じ込めといった次の対策までアドバイスします。

時間のロスが発生しにくいため、工場の解体・改修をスケジュール通りに進めることができます。

手間をかけず丸ごとプロに任せる

アスベスト調査は、検体採取や分析、行政提出書類の作成など手間がかかる作業が多いのが実情です。

ラボテックなら、依頼書の記入すら最小限に抑え、調査から報告書作成、必要に応じた行政対応サポートまでワンストップで対応します。工場関係者が煩雑な工程に煩わされることなく、安心して本業に専念できる体制を整えています。

費用や納期も明確な業者を選ぶ

アスベスト調査・対策には、費用・納期に関するトラブルを未然に防ぐことが大切です。

ラボテックは、依頼時点で明確な価格とスケジュールを提示し、追加費用が発生する場合も事前説明を徹底します。「知らなかった」「聞いていなかった」といったリスクを排除し、安心して契約できる環境を提供しています。

工場にアスベストが含まれているとわかった場合の対策

工場にアスベストが含まれていることが判明した場合、飛散防止と健康被害のリスク管理が最優先事項となります。適切な工法を選び、安全に処理することが求められます。ここでは、代表的な3つの対策方法を紹介します。

アスベストを完全に除去して根本解決する「除去工事」

アスベスト対策として最も確実な方法が「除去工事」です。この工事は、アスベスト含有建材そのものを物理的に取り除き、建物から完全に排除する工法です。

除去作業では、飛散防止のため作業区域を負圧管理し、周囲にアスベスト粉じんが漏れないよう厳重に封鎖します。また、作業員には専用の防護服やマスクの着用が義務づけられ、取り扱いには高度な安全管理が求められます。工場のように面積が広く天井が高い施設では、工程管理やスケジュール調整も重要となるため、実績豊富な専門業者に依頼することが成功のポイントです。除去後は法令に従い、産業廃棄物として適切に処分されます。

現場を維持しながら飛散を防ぐ「封じ込め処理」

除去工事に比べ短期間かつコストを抑えたい場合に選ばれるのが「封じ込め処理」です。封じ込めとは、アスベスト含有部材の表面に特殊な固定剤を吹き付けることで、繊維の飛散を防ぐ方法です。

施設の稼働を止めずに施工できる場合もあり、操業中の工場にとって現実的な選択肢となることもあります。しかし、この方法ではアスベスト自体は建物内部に残るため、将来的に改修工事や解体作業を行う際には、再び本格的な除去対応が必要です。

封じ込めを選択する際は、将来のリスクも考慮したうえで、施工後の定期点検体制を整えることが重要です。

建材でアスベストを密閉する「囲い込み対策」

「囲い込み対策」とは、アスベスト含有箇所を新たな建材で完全に覆い、繊維の飛散を防ぐ工法です。具体的には、耐火ボードや金属パネルなどを設置し、アスベストに直接触れることができないように封鎖します。

囲い込みは、比較的低コストで短期間に施工できるメリットがあり、特に天井裏や壁内部など人の手が届きにくい箇所に適しています。

ただし、建材の劣化や外部からの衝撃で囲いが破損すると飛散リスクが再燃するため、封じ込め処理と同様に、定期的なメンテナンスと経過観察が欠かせません。中長期的な施設運営を見据えた上で、対策を検討することが大切です。

アスベスト工場の元労働者や遺族に対する和解による賠償金について

過去にアスベストを扱っていた工場で働いていた元労働者やその遺族に対して、一定の要件を満たす場合、国から和解による賠償金が支払われる制度があります。

大阪泉南地域のアスベスト工場で発生した健康被害について、国の規制不備を認めた平成26年の最高裁判決に基づくものです。対象となるのは、昭和33年5月26日から昭和46年4月28日までの間に石綿粉じんにばく露する作業に従事し、石綿肺や肺がん、中皮腫などの健康被害を受けた方、またはその遺族です。

訴訟を提起し、要件を証明する書類(診断書や労災給付通知書など)を提出することで、和解が進められます。賠償金の額は疾患の種類に応じて算定され、別途弁護士費用や遅延損害金も支払対象となる場合があります。詳細は法テラスや各地の弁護士会への相談が推奨されています。

参照元:石綿(アスベスト)工場の元労働者やその遺族の方々との和解手続について

工場のアスベスト対策を行う際に注意すべきポイント

工場でアスベスト対策を実施する場合、単に除去や封じ込めを行うだけでなく、事前にさまざまな注意点を押さえておくことが重要です。

作業の規模が大きくなる工場では、想定以上のリスクやコストが発生することも少なくありません。ここでは、工場におけるアスベスト対策時に特に意識すべきポイントを紹介します。

工場規模や建物構造によるリスクを考える

工場は一般住宅や小規模施設に比べて、敷地面積や天井高が大きく、複雑な配管・ダクト設備を有している場合が多い傾向にあります。

そのため、アスベストが使われている箇所も広範囲に及ぶ可能性があり、除去や封じ込めの作業範囲が想定より広がることもあります。また、高所作業や密閉空間での作業は、通常よりも安全管理の難易度が上がるため、事前に専門業者と現場調査を行い、具体的なリスクを把握しておくことが大切です。

事前にスケジュールと費用を十分に確認する

工場のアスベスト対策では、稼働スケジュールとの調整が大きな課題となります。生産ラインを止めずに工事を進めるのか、一定期間操業を停止するのかによって、作業計画やコストが大きく変動します。

さらに、除去工事では安全確保のための仮設工事や、作業区域の負圧管理設備が必要になり、追加費用が発生することもあります。後からトラブルにならないよう、工程表や見積もり内容は必ず事前に細かく確認し、必要に応じて複数業者から比較検討することをおすすめします。

作業中の立入制限や周辺環境への配慮をする

アスベスト対策工事中は、作業エリアへの立ち入りを厳しく制限する必要があります。万が一、作業中に粉じんが飛散すれば、工場内の他の従業員や近隣住民にまで影響が及ぶ恐れがあるためです。

作業前には作業区画を設け、注意喚起表示を設置し、必要に応じて周囲への説明や情報共有を行うことが求められます。また、近隣環境への影響を最小限に抑えるため、大気中のアスベスト濃度測定など環境調査も併せて行うと、より信頼性の高い対応となります。

工場のアスベスト問題を放置するとどうなる?

工場にアスベストが含まれていることが判明しても、対応を後回しにしてしまうとさまざまな深刻なリスクが発生します。放置による影響は、単なる建物の劣化にとどまらず、企業全体の信用問題にも直結します。ここでは、放置した場合に考えられる以下3つのリスクを解説します。

  • 法的リスク
  • 健康被害リスク
  • 企業イメージ悪化リスク

法的リスク

アスベスト対策は、労働安全衛生法や大気汚染防止法など、複数の法律によって厳しく規制されています。事前調査を怠ったり、適切な管理を行わないまま工事や改修を行ったりした場合、行政指導や罰則の対象となる可能性があります。

また、周辺住民や従業員から損害賠償請求を受けるリスクも高まるため、早期の対応が不可欠です。

健康被害リスク

アスベスト繊維は極めて微細で、空気中に飛散すると吸引してしまうリスクがあります。吸い込んだ場合、数十年後に中皮腫や肺がん、石綿肺などの重篤な疾患を発症する可能性があり、健康被害が顕在化した時には取り返しがつきません。

工場は作業員だけでなく、近隣住民にも健康リスクを及ぼす恐れがあり、被害が広範囲に及ぶ可能性もあります。

企業イメージ悪化リスク

アスベスト問題を軽視したことで事故や訴訟が発生すれば、企業イメージは一気に悪化します。安全管理の不備は社会的な批判の対象となり、取引先や顧客からの信用失墜にも直結します。

近年は企業のコンプライアンス意識が高まっており、環境・安全に配慮できない企業は市場から厳しい目で見られる時代です。自社のブランド価値を守るためにも、アスベスト問題は放置せず、速やかに対策を講じることが求められます。

まとめ:工場のアスベスト問題は早めの対応が重要

アスベストは、かつて工場建築に多用された非常に危険な素材です。劣化や破損によって繊維が飛散すれば、作業員や周辺住民に重大な健康被害を引き起こす恐れがあります。また、アスベスト対策を怠れば、法的リスクや企業イメージの低下といった深刻な問題にもつながりかねません。

工場にアスベストが使われている可能性がある場合は、まずは専門の調査を行い、状況を正確に把握することが重要です。その上で、除去・封じ込め・囲い込みといった適切な対策を選び、リスク管理を徹底することが求められます。

ラボテックでは、創業30年以上、年間5,000件以上の実績をもとに、工場のアスベスト問題にワンストップで対応しています。事前調査から分析、行政対応まで、煩雑な作業を丸ごとお任せいただけます。まずはお気軽にご相談ください。

アスベスト対策で安全・安心な工場環境を実現しましょう。

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