アスベストは何年前の建物に使われている?規制の歴史や含有の可能性がある建材を解説
築年数の古い住宅を見ると、「この建物はアスベストを含んでいるのでは?」と心配になる人も多いでしょう。アスベストは、ビルや病院、学校などに幅広く利用されていました。しかし、健康被害の危険性が明らかになったことで法律による規制が進み、現在は使用や製造が禁止されています。
本記事では、アスベストが何年前の建物に使われている可能性があるのか、規制の流れや確認方法まで分かりやすく解説します。
アスベスト調査はどこがいい?
アスベストの事前調査業者を探しているなら、アスベスト調査専門のラボテックがおすすめ!
- アスベストの専門資格者が多数在籍
- 創業30余年で年間5,000件以上の調査実績
- 面倒な事前調査から試料採取・分析を一括で対応
アスベストは何年前の建物に使用されている?
アスベストは2006年に使用が全面的に禁止されたため、2006年以前に建てられた建物に含まれている可能性があります。2025年時点で換算すると、19年以上前の建物が該当し、屋根材や外壁材、天井材などに使用されている可能性があります。
また、2006年以前に着工し、2006年以降に完成した建物も、アスベストが含まれているケースが考えられます。アスベストの使用有無を確認したい場合は、専門業者への依頼が必要です。
アスベスト規制の歴史・流れとは?年代ごとに解説
アスベスト規制の歴史は、段階的に進められてきました。アスベストは耐火性や断熱性に優れている一方で、健康被害のリスクが明らかになるにつれて規制が強化されました。以下の節目ごとに規制内容が変化し、最終的に全面禁止に至ります。
- 1975年(昭和50年)
- 1995年(平成7年)
- 2004年(平成16年)
- 2006年(平成18年)
- 2012年(平成24年)
ここからは、アスベスト規制の流れを詳しく解説します。
1975年(昭和50年)
1975年(昭和50年)は、今から50年前にあたり、日本で初めてアスベスト規制が導入された年です。「特定化学物質等障害予防規則」の改正により、アスベストが5重量%を超える吹付け作業が原則禁止となりました。
吹付け材は、耐火性や防音性を高める目的で使用される材料です。5重量%未満であれば許可されていたため、完全な排除には至りませんでした。
1995年(平成7年)
今から30年前の1995年(平成7年)は、アスベスト規制が大きく強化された年です。労働安全衛生法施行令・労働安全衛生規則・特定化学物質等障害予防規則が相次いで改正されました。
アモサイト(茶石綿)とクロシドライト(青石綿)の製造や輸入、使用が禁止され、アスベストを1重量%以上含む吹付け作業は全面禁止となりました。1975年当時の5%規制から大幅に強化されたことになります。
2004年(平成16年)
今から21年前の2004年(平成16年)の改正では、労働安全衛生法施行令が見直されました。吹付け材だけでなく、以下のような幅広い製品で1重量%以上のアスベストを含む場合は製造・譲渡・提供・使用が原則禁止となりました。
- 建材
- 接着剤
- 摩擦材
これにより、日常的に使用される多くの建築資材が規制対象となり、アスベストを使った建築は大幅に減少しました。
2006年(平成18年)
今から19年前の2006年(平成18年)に、アスベスト規制は事実上の全面禁止に至りました。労働安全衛生法施行令と石綿障害予防規則が強化され、0.1重量%を超えるアスベストを含む建材や接着剤、摩擦材などの製造・譲渡・提供・使用が禁止されました。
これにより、アスベストを含む屋根材、外壁材、断熱材、パッキンなど、ほぼすべての建材が規制対象となり、新築建物への使用は不可能となりました。
2012年(平成24年)
今から13年前の2012年(平成24年)にこれまで認められていた猶予措置が完全に撤廃され、アスベストを0.1重量%以上含む全ての製品の製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止されました。
アスベスト使用の可能性がある建材一覧
アスベスト使用の可能性がある建材一覧は、以下のとおりです。
- 屋根材・外壁材
- 天井・内壁材
- 配管の保温材・断熱材
- 床材
- ガスケット・パッキン
- 吹付け材
アスベストは、かつて建物の耐火性や断熱性、防音性を高める目的で幅広く使用されてきました。古い建物の場合、さまざまな建材に含まれている可能性があります。
ここでは、アスベスト使用の可能性がある建材を紹介します。
屋根材・外壁材
屋根材や外壁材には、過去にアスベストが広く使用されていました。スレート波板や化粧スレート、窯業系サイディングボードなどは代表的な例です。
築20年以上の建物には、アスベストを含む屋根材・外壁材が残っている可能性があり、老朽化すると粉じんが飛散しやすくなります。
天井・内壁材
天井材や内壁材は、過去にアスベストを含む建材が多く使用されていた代表例です。石膏ボード、ロックウール吸音板、けい酸カルシウム板などが典型で、軽量性や耐火性、防音性を目的に広く普及しました。
配管の保温材・断熱材
配管の保温材や断熱材には、過去にアスベストが多く使用されていました。ボイラー配管、給湯管、冷暖房設備のダクトなどでは、熱効率を高めるためにアスベストを含む保温材や断熱材が採用されていました。
築年数が古い建物には、配管周りにアスベスト材が残っている可能性があります。劣化や剥離によって微細な繊維が空気中に飛散すると、健康被害のリスクが生じます。
床材
床材にもアスベストが使用されていることがあり、ビニル床タイルやビニル床シート、ソフト巾木などに含まれる可能性があります。これらの建材は耐久性や耐摩耗性、防音性を高めるためにアスベストが混入されており、古い建物では注意が必要です。
床材に含まれるアスベストは普段の使用で飛散することは少ないですが、リフォームや解体の際には繊維が空気中に舞うリスクがあります。古い建物の床材を剥がす場合は、安全対策を講じることが重要です。
ガスケット・パッキン
ガスケットやパッキンも、アスベストが使用されていた代表的な部材の一つです。ボイラー、配管、バルブ、ポンプの接合部に多く用いられました。
通常の使用状態では繊維が飛散する危険は低いものの、分解、交換、解体作業の際には粉じんが発生しやすく、吸入リスクが高まります。
吹付け材
吹付け材は、過去の建物においてアスベストが高い割合で使用されていた建材です。築年数の古い建物では飛散性アスベストが存在する可能性が高いため注意が必要です。
調査や解体の際には、石綿作業主任者による事前確認と適切な除去作業を行うことで、健康被害のリスクを最小限に抑えられます。
アスベストの使用有無を確認する方法
アスベストの使用有無を確認する方法は、以下の3つです。
- 設計図書・仕様書をチェックする
- アスベストマークの有無をチェックする
- 専門業者に調査を依頼する
2006年以前の建物には、アスベストを含む建材が残っている可能性があります。ここでは、アスベストの確認方法を詳しく解説します。
設計図書・仕様書をチェックする
アスベストの使用有無を確認する際には、建物の設計図書や仕様書を確認しましょう。
設計図書や仕様書には、使用建材の種類や製品名、製造年が明記されている場合が多く、アスベスト含有建材の特定に役立ちます。
設計図書・仕様書の確認は、業者に依頼する前段階として、建物の安全性を判断するための手掛かりとなるでしょう。
アスベストマークの有無をチェックする
アスベストマークは1989年7月以降に製造された建材につけられている「a」のマークです。当初はアスベスト含有率5%以上、1995年以降は1%以上の製品に表示されています。
参照元:埼玉県環境科学国際センター「石綿含有建材の見分け方」
ただし、すべての建材にアスベストマークがついているとは限らず、確認が難しいケースもあります。アスベストマークの確認が難しい場合は、専門業者に調査を依頼するのが安全です。
専門業者に調査を依頼する
建物にアスベストが使用されているかを正確に確認するには、資格を持つ専門業者への調査依頼が重要です。
専門業者は現地での目視点検に加え、建材を一部採取するサンプリング調査を実施し、アスベストの有無と含有率を測定します。
早期に専門調査を行うことで、健康リスクを回避し、安全性を確保できます。
アスベスト調査・撤去の費用相場
アスベスト調査・撤去の費用は、建物の大きさや調査方法、業者によって変動します。書面調査や目視調査の場合、2〜5万円程度が目安です。
しかし、建物の規模が大きい場合、数十万円から数百万円に及ぶケースもあります。費用を抑えるには、複数業者に見積もりを依頼し、調査内容や撤去範囲を比較検討することが重要です。
アスベスト調査・撤去の費用については以下の記事で解説しているため、参考にしてください。
そもそもアスベスト(石綿)とは?
アスベスト(石綿)とは、天然に産出する繊維状の鉱物です。耐熱性や断熱性、防音性に優れているため、多くの建物に幅広く使用されてきました。
しかし、吸入による健康被害が問題となり、現在では使用・製造が禁止されています。アスベストは、建物に存在するだけで危険なわけではなく、飛散・吸入することがリスクです。古い建物の解体・改修では、飛散防止措置や事前調査が求められます。
アスベストは何年前の建物に使われているのかに関するよくある質問
アスベストは何年前の建物に使われているのかに関するよくある質問は、以下の5つです。
- アスベストが使用されているか年代で判定できる?
- 2006年以前の建物にはアスベストが使用されている?
- アスベストが使用禁止されたのは何年?
- アスベストはいつから使われた?
- 木造一戸建てにもアスベストが使われている?
ここでは、アスベストに関連する質問に回答します。アスベストの知識を身につけるための参考にしてください。
アスベストが使用されているか年代で判定できる?
アスベストの有無は、建物の築年数で目安をつけることが可能です。2006年より前に建てられた建物では、建材にアスベストが使われている可能性があります。
しかし、年代だけで完全に判定することはできません。正確に確認するには、専門業者による調査が必要です。
2006年以前の建物にはアスベストが使用されている?
2006年以前に建てられた建物は、アスベストが使われている可能性があります。ただし、全ての建物に使用されているかどうかは断定できません。築年数が古い建物では、改修や解体時に専門業者に調査を依頼することが安全です。
アスベストが使用禁止されたのは何年?
日本でアスベストが完全に使用禁止となったのは2006年です。アスベスト規制は段階的に進められ、2006年に製造・輸入・使用などができなくなりました。
アスベストはいつから使われた?
アスベストは、1950年頃から本格的に建材として使用されました。オフィスビル、工場、公共施設など、さまざまな建物の建材として使われていました。
その後、規制が段階的に進み、2006年に全面禁止となったため、2006年以前の建物は注意が必要です。
木造一戸建てにもアスベストが使われている?
木造一戸建て住宅でも、アスベストが使用されている場合があります。木造だからといって安全とは限らず、リフォームや解体時に誤ってアスベストを破損すると、飛散リスクが発生します。築年数が古い場合は、事前に専門業者に調査を依頼することが推奨されます。
木造一戸建てのアスベストについては以下の記事で解説しているため、参考にしてください。
木造一戸建てにもアスベストが使用されている?解体費用や見分け方を解説
H2.まとめ
アスベスト(石綿)は、一般住宅やビル、病院などに使われていましたが、健康被害の危険性から2006年に使用や製造が禁止されました。しかし、築年数が古い建物では、屋根材や外壁材、天井材などにアスベストが残存する可能性があります。
建物の安全確認には、設計図書やアスベストマークのチェックに加え、専門業者への調査依頼が有効です。建物を購入・リフォームする際は、アスベスト調査を依頼し、安心できる住環境づくりを進めましょう。