アスベスト除去費用の目安とは?レベル・建物別に解説

アスベスト除去費用の目安とは?レベル・建物別に解説

アスベスト除去費用

「アスベスト除去にかかる費用はいくら?」「外壁やレベルごとの価格差って?」そんな疑問をお持ちではありませんか?

アスベストは健康被害のリスクが高く、適切な除去が法律で義務づけられています。しかし、工事内容や建材の種類、建物の規模によって除去費用は大きく異なります。さらに、補助金制度や処分・養生といった追加費用の有無によっても総額が変動します。

この記事では、アスベスト除去費用の相場からレベル別・部位別の目安、処分費や補助金の活用法まで、わかりやすく解説します。

安心・安全にアスベスト対策を行うための正しい知識を得たい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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アスベスト除去にかかる費用の基本概要

アスベスト除去は専門性が高く、安全性・法令遵守が求められるため、除去費用は決して安くはありません。費用は建材の種類や飛散レベル、施工環境などによって大きく異なります。

この見出しでは、アスベスト除去の費用相場や内訳、国土交通省が公表している参考費用をわかりやすく整理します。

除去費用に含まれる主な内訳項目

アスベスト除去費用は、単純な「取り除くだけの費用」ではありません。以下のような複数の工程・項目が含まれるのが一般的です。

項目

内容

調査費用

事前調査や試料採取、分析調査(定性・定量)

仮設工事費

足場や囲い養生、作業環境の構築

除去作業費

アスベスト建材の除去、飛散防止措置

養生・飛散防止費

粉じん飛散防止のためのビニールシート施工等

処分費用

除去したアスベストの収集・運搬・最終処分費用

報告費用

石綿事前調査結果報告などの行政手続き

こうした多段階の作業すべてを含めた総額が、最終的なアスベスト除去費用となります。価格だけで比較するのではなく、「どこまで含まれているか」に注目することが重要です。

H3.国土交通省が示す費用の目安

国土交通省が公開している資料(建築物のアスベスト対策Q&A)によれば、公共工事などにおけるアスベスト除去費用の参考単価は以下の通りです。

アスベスト処理面積

除去費用

300m2以下

2.0万円/m2 ~ 8.5万円/m2

300m2~1,000m2

1.5万円/m2 ~ 4.5万円/m2

1,000m2以上

1.0万円/m2 ~ 3.0万円/m2

この費用は、作業区分ごとの標準的な単価であり、民間工事においても目安として活用可能です。ただし、あくまで平均的な数値であり、現場条件によっては前後する点に注意が必要です。
※国土交通省が示す費用は「標準的な条件」での算定です。都心部や高所などはコスト増加に注意しましょう。

アスベストの種類・レベル別の費用

アスベスト除去費用は、使用されているアスベスト建材の種類と「飛散レベル」によって大きく異なります。アスベストは飛散性の高い順に「レベル1・2・3」に分類されており、飛散リスクが高いほど安全対策や手間が増えるため、除去費用も高額になる傾向があります。

ここでは、それぞれのレベルごとにどのような建材が該当するのか、また除去にかかる費用の目安をわかりやすく解説します。

レベル1の除去費用(吹付材など)

レベル1は、最も飛散性の高いアスベスト建材に該当します。主に以下のような素材が該当します。

  • 吹付けアスベスト(天井・梁・柱など)
  • 吹付けロックウール(石綿含有の場合)

これらは、ちょっとした衝撃や振動でもアスベスト繊維が空気中に飛散しやすく、作業環境を完全密閉しての除去作業が求められます。

▶ 費用相場

  • 1㎡あたり:15,000円〜85,000円程度
  • 除去期間:数日〜数週間(面積により)
  • 仮設・養生・負圧集じん装置の設置など、高度な安全管理が必要

レベル2の除去費用(保温材など)

レベル2は、比較的飛散性の高い「成形されていないアスベスト」です。該当するのは以下のような建材です。

  • ボイラーや配管の保温材(巻付材・耐火被覆材)
  • ダクトの断熱材 など

レベル1ほどではないものの、除去時に粉じんが発生する可能性があり、飛散防止措置が義務付けられています。

▶ 費用相場

  • 1㎡あたり:10,000円〜60,000円程度
  • 施工内容や保温材の密度により変動あり
  • 作業者の保護具着用、適切な梱包と保管が必要

レベル3の除去費用(成形板など)

レベル3は、アスベストを練り込んで成形された硬質建材で、飛散リスクが比較的低いため、除去作業も簡易化できるケースがあります。

  • スレート波板・ケイ酸カルシウム板
  • ビニル床タイル・Pタイル
  • 石綿セメント板 など

ただし、切断や破砕作業時には飛散の可能性があるため、対策は必要です。

▶ 費用相場

  • 1㎡あたり:3,000円〜15,000円程度
  • 建材の種類や厚み、施工条件によって費用は変動

建物・部位別|アスベスト除去費用の違い

土壌汚染対策法では、調査から行政報告、指定区域の扱いや工事の実施に至るまで、複数の手続きが段階的に定められています。義務を怠れば罰則の対象にもなるため、正しい流れと届出のタイミングを把握することが重要です。ここでは、手続きごとのポイントを順を追って解説します。

外壁のアスベスト除去費用の目安

外壁材には、スレート波板や押出成形セメント板(レベル3)など、比較的飛散性の低いアスベスト建材が多く使用されています。ただし、撤去時に破砕や切断が生じると、アスベスト繊維が飛散するリスクがあるため、適切な養生・保護措置が不可欠です。

▶ 外壁の除去費用目安

  • 1㎡あたり:3,000〜15,000円程度
  • 足場の設置や高所作業が必要なため、養生費用が高くなりがち
  • 下地の状態や面積、建物の高さによって変動

一戸建て住宅の除去費用の目安

一般的な一戸建て住宅においては、アスベスト建材は以下のような箇所に使われている可能性があります。

  • 外壁スレート、屋根材
  • ビニル床タイル(レベル3)
  • 石綿含有パテ・接着剤(見落とされやすい)

一戸建ては建物規模が小さい分、作業量は抑えられることが多いですが、狭所や部分的な除去に手間がかかることもあります。

▶ 一戸建ての除去費用目安

  • 30㎡〜50㎡の外壁除去:10万円〜30万円程度
  • 床材や内装の除去:5万円〜20万円前後
  • 状況によっては部分的な「みなし含有対応」も可能

工場・大型建築の費用目安

工場やビル、公共施設などの大規模建築では、レベル1・2の高飛散性アスベスト建材(吹付材・保温材)が使用されていることもあり、除去費用は大幅に増加する傾向があります。

▶ 大型施設の除去費用目安

  • レベル1(吹付材)除去:1㎡あたり15,000〜85,000円
  • レベル2(保温材など):10,000〜60,000円
  • 建物全体で100万円〜数千万円規模になるケースもある

アスベスト処分・養生にかかる追加費用

アスベスト除去には「作業費」だけでなく、処分・養生・搬出・保管といった付帯費用も発生します。これらの費用は見積書で「別途項目」として計上されることが多く、除去費用と合わせて総額を把握しておくことが重要です。

この見出しでは、1kg・1m³あたりの処分費、養生にかかる費用、搬出・仮置きなどの費用項目について詳しく解説します。

処分費(1kg・1m³あたり)

アスベスト廃材の処分は、「特別管理産業廃棄物」として厳しく規制されています。処分費は重量(kg)や体積(m³)に応じて課金されるため、建材の種類・数量によって金額が変動します。

▶ 処分費の目安

  • 1kgあたり:150円〜500円程度
  • 1m³あたり:15,000円〜50,000円程度
  • 処分場までの距離や地域差によって大きく変動

養生費用

養生とは、アスベストが周囲に飛散しないように囲い込む作業です。アスベストの飛散レベルや除去面積によって、必要な養生資材の量と作業内容が異なるため、費用にも大きな幅があります。

▶ 養生費用の目安

  • 1㎡あたり:1,500円〜5,000円程度
  • レベル1・2では陰圧養生や気密封鎖が必要になるため高額
  • 高所作業や外壁の養生は別途足場費がかかる場合も

搬出・保管などの関連費用

除去されたアスベスト建材は、飛散防止用の密閉袋に二重に封入されたうえで搬出されます。特別管理産廃としての取り扱いが義務付けられているため、運搬や保管にも法的な対応が求められ、コストがかかります。

▶ 関連費用の目安

  • 仮置き・保管費:1日あたり5,000円〜10,000円前後(仮設保管スペースが必要な場合)
  • 運搬費:1回あたり20,000円〜50,000円(処分場までの距離による)
  • マニフェスト管理費:数千円程度が別途発生することも

アスベスト除去費用を抑えるポイント

アスベスト除去には、工事費・処分費・養生費用・調査費用など複数のコストが発生します。
補助金制度の活用方法や、専門業者への複数見積もりのメリットなど、アスベスト除去費用を節約するための実践的な方法を紹介します。

補助金と併用できる節約方法

自治体や国が実施するアスベスト除去費用の補助金制度を利用することで、費用の一部を担保できます。補助内容は地域により異なりますが、最大で数十万円以上の助成が受けられるケースもあります。

▶ 補助金の例

  • アスベスト調査費:上限5〜10万円
  • アスベスト除去工事費:上限50〜100万円
  • 工事費の2/3または1/2を補助する制度が多い

公式サイトや市区町村の環境課に確認し、活用できる制度がないか調査しておくことが重要です。

専門業者に複数見積もりを依頼

アスベスト除去工事は業者によって見積もり価格に大きな差があります。同じ作業内容でも、10万円〜数十万円の違いが出ることは珍しくありません。

▶ 比較時のチェックポイント

  • 費用の内訳が明確か(除去費・養生費・処分費など)
  • 飛散防止対策の詳細や対応資格者の有無
  • マニフェスト・報告書の作成対応

アスベスト除去の費用に関する注意点

アスベスト除去は、費用面だけでなく法令遵守や安全性にも高い注意が必要です。費用が安すぎる業者や無資格者による施工は、健康被害や法的リスクにつながる恐れがあります。
ここでは、アスベスト除去工事を依頼する際に気をつけるべき重要なポイントを解説します。

相場よりも安すぎる業者に注意

アスベスト除去費用の相場は、工法・面積・飛散レベルによって異なりますが、相場より極端に安い見積もりを提示する業者には注意が必要です。

  • 飛散防止措置が不十分
  • 廃棄物処理を不法投棄している
  • 有資格者を使わず人件費を削減している

上記の業者に依頼すると、工事後に健康被害が発生したり、後から高額な修繕費が発生するリスクもあります。費用だけでなく、安全対策の内容や施工体制を確認しましょう。

有資格者による調査・施工が必須

アスベスト除去工事は、有資格者による調査・施工が法令で義務付けられています。2023年10月以降は、無資格者による調査・除去は違法です。

  • 建築物石綿含有建材調査者
  • 一般建築物石綿含有建材調査者
  • 石綿作業主任者(施工時)
  • アスベスト分析技術評価事業(分析者)

上記の有資格者が在籍していない業者に依頼すると、報告義務が果たせず、行政からの是正指導の対象になる可能性もあります。

無届施工による法令違反リスクに注意

アスベスト除去工事を行う際は、労働基準監督署や都道府県への届出が必要です。無届のまま施工すると、労働安全衛生法違反や大気汚染防止法違反に該当し、企業や施主が行政処分や罰則を受けるリスクがあります。

無届けで除去工事を実施した場合、工事の差し止めや罰金(50万円以下)が科されるケースも報告されています。費用だけでなく、法令対応の有無も必ず確認してください。

アスベスト除去費用に関するよくある質問

アスベスト除去工事を検討している方の中には、「封じ込めとの費用差は?」「どの発注方法が得か?」「見積もりに何を含めるべきか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。ここでは、よくある質問をわかりやすく解説します。

アスベスト除去と封じ込めの費用差は?

アスベスト対策では「除去」と「封じ込め(囲い込み)」2つの手法がありますが、どちらが費用的に有利なのかは状況次第です。

除去は根本的な解決になる一方、施工範囲や作業環境によって費用が膨らみやすい傾向があります。 一方、封じ込めは短期的なコストを抑えられることもありますが、将来的なリスク管理や建物の用途変更時に追加費用がかかる場合もあります。

どちらの工法が適しているかは、建物の用途・使用年数・今後の改修予定などと併せて検討することが重要です。

分離発注と一括発注、どちらがお得?

アスベスト除去を発注する際、「分離発注(一部業務のみ外注)」と「一括発注(すべて任せる)」があります。分離発注は中間マージンを省けるため費用を抑えやすい反面、業者間の調整や管理の手間が発生するデメリットがあります。

一括発注はスムーズな進行と一元管理の安心感がある一方、費用がやや割高になるケースもあると認識して判断しましょう。

アスベスト除去後の処理費用も含めて見積もるべき?

アスベスト除去にかかる総費用を正確に把握するには、処分費や養生費・運搬費などの関連費用も含めて見積もることが重要です。表面上の除去工事費だけに注目すると、後から追加費用が発生し、予算オーバーになることもあります。

特に、産業廃棄物処理・保管・飛散防止措置の有無など、実務上必要な工程を網羅した見積書かどうかを確認しましょう。

まとめ

アスベスト除去費用は、建材の種類や飛散レベル、建物の構造、施工方法によって大きく差が出るため、単純な一律費用では判断できません。また、処分費用や養生費などの追加コストも発生するため、見積りの内訳確認は必須です。

さらに、2023年以降は法改正により無資格者による調査・施工や無届工事が違法となり、重い罰則が科される場合もあります。費用を抑えたい場合は、補助金の活用や信頼できる業者への相見積もりが有効です。

将来的な健康リスクや法的トラブルを回避するためにも、専門家に相談しながら計画を進めましょう。

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