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【要注意】モルタルのアスベスト除去方法と種類別リスクを徹底解説
【要注意】モルタルのアスベスト除去方法と種類別リスクを徹底解説
「モルタルにはアスベストが含まれている可能性がある」と聞いて、不安に思った方も多いのではないでしょうか?
アスベスト(石綿)は、かつてモルタルの混和材や仕上げ材に使用されていた時期があり、特に古い建物では含有の可能性が指摘されています。解体やリフォームの際にアスベストを見落とすと、飛散による健康被害や法令違反につながるリスクもあります。
この記事では、「モルタルにアスベストが含まれる可能性」「どんな種類のモルタルが対象か」「使用されていた背景や用途」などを、専門的な観点からわかりやすく解説します。
工事を計画している方、建物管理者、施工業者の方はぜひ最後までご覧ください。
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モルタルにアスベストが含まれる可能性は?
かつて建築現場で多用されていたモルタルは、その構成や添加物によってはアスベスト(石綿)を含む可能性がある建材のひとつです。特に、昭和時代の建物や、耐火性能が重視された工事では、アスベスト入りのモルタルが使用されていたケースも少なくありません。
現在ではアスベストの使用は法律で禁止されていますが、過去に施工された建築物では注意が必要です。この見出しでは、モルタルの基礎知識やアスベストとの関係性についてわかりやすく解説します。
モルタルとは?基本と構成要素
モルタルとは、セメント・砂(細骨材)・水を混ぜて作られる建築材料で、左官作業や仕上げ材として幅広く使われています。粘着性が高く、凹凸のある下地にもよくなじむため、タイル貼りの接着材や壁の下地、外壁の仕上げなどに用いられます。
モルタルは基本的に以下のような材料で構成されます。
- セメント(主結合材)
- 砂(骨材)
- 水(化学反応と可塑性の付与)
- 添加剤・混和材(作業性や性能を調整)
このうち、「添加剤・混和材」としてアスベストが使用されていた可能性があります。
モルタルとセメント・コンクリートの違い
モルタルと似た建材にセメントやコンクリートがありますが、これらは構成要素と用途に違いがあります。
建材名 | 構成 | 主な用途 |
セメント | 単体では粉状の結合材 | モルタル・コンクリートの主成分 |
モルタル | セメント+砂+水 | 外壁仕上げ、タイルの接着など |
コンクリート | セメント+砂+砂利(粗骨材)+水 | 建物の構造材(柱・床・基礎など) |
モルタルは砂利を含まず軽量で加工しやすいため、構造材ではなく仕上げや補修材として使われる点が大きな特徴です。
モルタルが使われる代表的な場所・用途
モルタルはその施工性の高さから、建物の内外問わずさまざまな場所で使われています。代表的な使用例は以下の通りです。
- 外壁や内壁の仕上げ(塗り壁材)
- タイルや石材の接着材
- 屋根瓦の固定・目地埋め
- ブロック積みの接着剤
- 土間・床の下地材
- 耐火・断熱を目的とした耐火被覆材(特に注意)
特に注意が必要なのが、「耐火モルタル」として使用された箇所や、昭和40〜50年代のビル・公共施設・工場などです。この時期は建築基準法の耐火要件を満たすために、アスベストが混和材として添加されていた可能性があります。
モルタル混和材にアスベストが使われていた背景
モルタルの性能を高めるために添加される混和材(添加剤)には、作業性や強度、耐火性を向上させる目的があります。かつてその混和材としてアスベスト(石綿)が広く使用されていたのです。
アスベストが使われていた主な理由は次のとおりです。
- 耐熱性に優れ、火災対策として効果的だった
- 繊維状で均一に混ざりやすく、ひび割れ抑制に貢献
- 価格が安く、建築現場で使いやすかった
特に耐火モルタル・煙突周辺・配管被覆・機械室など、高温にさらされる場所に使用されたモルタルは、アスベスト含有のリスクが高いと考えられます。
現在ではアスベスト使用は法律で禁止されており、モルタルの製造にも使われていませんが、古い建物の改修や解体では必ず事前調査を行うべきです。
モルタルの種類別|アスベスト含有リスク
一口に「モルタル」といっても、用途や性能に応じてさまざまな種類があります。ここでは、代表的な6つのモルタルタイプについて、そのアスベスト含有リスクを中心に解説します。
セメントモルタル|リスクは比較的低め
セメントモルタルは、セメント・砂・水だけで構成された最も基本的なモルタルです。左官仕上げやレンガ積みなどに使用され、特別な混和材を含まない限り、アスベストが含まれる可能性は低いとされています。
ただし、古い建物で施工された場合や、特殊な性能を付加するために混和材が使用された場合は注意が必要です。
石灰モルタル|古い建物での使用に注意
石灰モルタルは、セメントの代わりに消石灰を使用したもので、伝統的な日本家屋や古い洋風建築で多く使用されていました。施工時期が古いものは、アスベスト添加の可能性が否定できません。
特に1970年代以前の建物では、耐火性や強度を高めるために石綿繊維が混ぜられていた事例も報告されています。
混合モルタル(セメント石灰モルタル)|注意が必要な混合型
混合モルタルは、セメントと石灰を組み合わせたハイブリッド型のモルタルで、作業性と強度のバランスに優れます。
ただし、石灰系のモルタルにアスベストを添加して耐火性を高めた過去の製品も存在します。特に公共施設・学校・ビルで使用された場合は、事前調査が必須です。
ポリマーセメントモルタル|現代ではアスベスト不使用
ポリマーセメントモルタルは、セメントに合成樹脂(ポリマー)を混ぜたモルタルで、防水性や接着性に優れた高性能モルタルです。
このタイプは1990年代以降に開発された比較的新しい建材のため、アスベストが含まれている可能性は極めて低いとされています。
耐火モルタル|最もアスベスト含有のリスクが高い
耐火モルタルは、高温にさらされる部位(ボイラー室、煙突、機械室など)に使用され、耐火・断熱性能が重視されます。
かつては、耐火性能を強化する目的でアスベストが積極的に添加されていました。とくに1970〜1980年代の建築物では、耐火モルタル=アスベスト含有の可能性が非常に高いと認識すべきです。
エポキシモルタル|アスベストのリスクは低いが念のため確認を
エポキシモルタルは、エポキシ樹脂をバインダーにした特殊モルタルで、化学プラントや排水施設の補修材として使用されます。
このタイプは高価なうえ近年の製品が多いため、アスベスト使用の可能性は低いですが、過去の製品に混和されていた事例がゼロではありません。調査対象となる建物の施工年代を必ず確認しましょう。
H2.アスベスト含有モルタルの除去方法の流れ
アスベストが含まれている可能性のあるモルタルは、大気汚染防止法・石綿障害予防規則などにより、厳格なルールに沿った対応が求められます。ここでは、アスベスト調査から除去・処分までの一般的な流れをわかりやすく解説します。
事前調査とサンプリングの実施
解体・改修前の建物については、すべての建材を対象にアスベストの有無を確認する事前調査が義務付けられています。モルタルのように目視では判断が難しい材料の場合、調査者が試料を採取し、分析機関に送付します。
2023年10月以降は、調査実施者にも資格要件が設けられ、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 一般建築物石綿含有建材調査者
- 特定建築物石綿含有建材調査者
- 一戸建て建築物石綿含有建材調査者(限定用途)
アスベストの分析調査(定性・定量)
採取されたモルタルの試料は、JISに準拠した分析方法で、アスベストの有無や含有量が調べられます。
- 定性分析:アスベストが含まれているかどうかを確認
- 定量分析:含有している場合、何%含まれているかを測定
吹付材や保温材などと異なり、モルタルは層の中にアスベストが隠れている場合が多いため、層別分析が重要です。
除去作業の実施と飛散防止対策
アスベストが含まれていると判明した場合、飛散防止対策(養生・負圧除じん装置の設置など)を講じたうえで、専門業者による除去作業が行われます。モルタルは外壁や天井などに広範囲に施工されていることがあり、破砕を伴う作業には特に注意が必要です。
作業区分はアスベストのレベルによって異なり、モルタルに含まれるケースは主に「レベル3(成形材等)」として扱われることが多いですが、状態によってはレベル2に該当することもあります。
除去後の処分と届出
除去したアスベスト含有モルタルは、特別管理産業廃棄物として適切に梱包・保管・運搬し、許可を受けた処理施設で処分しなければなりません。
また、一定量を超える除去作業を行う場合には、作業開始前に所轄の労働基準監督署や都道府県知事等への届出が義務付けられています。
H2. モルタルのアスベスト除去にかかる費用目安
モルタルにアスベストが含まれていた場合、その除去には材料の種類・工法・作業条件によって費用が大きく変動します。特にモルタルは「仕上塗材」や「混和材」にアスベストが混入しているケースがあり、外壁などの広範囲施工箇所では費用も高くなりがちです。
ここでは、除去の費用相場や、作業の難易度・飛散レベルによってどのような違いがあるのかを解説します。
レベル別に見る除去費用の傾向
アスベストの除去費用は、厚生労働省および国土交通省が定める飛散レベル(1〜3)によって大きく異なります。
レベル1(吹付材など)の費用傾向
レベル1は、飛散性が最も高いアスベスト材(例:吹付け石綿)です。除去には完全密閉・負圧装置など高度な飛散防止措置が必要となり、費用は高額になる傾向があります。
レベル2(保温材など)の費用傾向
保温材・断熱材に使われているレベル2のアスベストは、やや飛散しにくいものの、粉じん発生の可能性があるため、依然として厳重な措置が必要です。
レベル3(成形板・モルタルなど)の費用傾向
モルタルが該当することが多いのがレベル3。非飛散性アスベスト建材に分類されますが、除去時に破砕や削り作業を伴う場合には飛散リスクが発生するため、専門業者による対応が必要です。レベル3の中では比較的費用が抑えられるケースもあります。
外壁に施工されたモルタルの除去費用
外壁にアスベスト含有モルタルが使われている場合、除去の難易度が上がる傾向にあります。高所作業や足場の設置が必要となるため、基本費用に加えて仮設費・養生費などが加算されます。
また、塗材や下地処理材の中にアスベストが含まれていることもあるため、層ごとのサンプリング・分析が必須になります。
一戸建てと大型建築物での費用差
戸建住宅と工場・倉庫などの大型建物では、アスベスト除去費用に明確な差が出ます。
- 一戸建て住宅:施工面積が限定されているため、1㎡あたりの単価はやや割高になる場合があります。
- 工場・倉庫・ビルなど:施工面積が広い反面、スケールメリットにより単価が抑えられるケースがあります。ただし、建物の構造や築年数によっては、追加調査や特殊処理が必要となり費用が膨らむ可能性もあります。
このように、モルタルのアスベスト除去費用は、「材質の特性・建物の構造・施工方法」によって変動します。正確な費用を知るためには、専門業者による現地調査と見積もりが必須です。
アスベストを含有したモルタルに関するよくある質問
モルタルにアスベストが使われていたのはいつ頃まで?
アスベストは1960〜1980年代にかけて、モルタルの混和材や下地材として幅広く使用されていました。特に、1975年以前の建物はアスベスト含有のリスクが高いとされています。
厚生労働省などの資料によれば、2006年9月以降の建材にはアスベストが原則使用されていないとされていますが、それ以前の建物では注意が必要です(参照:厚生労働省 石綿対策)。
モルタルのアスベストは「レベル1」や「レベル3」になるの?
アスベストの除去レベルは、飛散性や含有状態によって分類されます。モルタルは成形された状態で使用されることが多く、一般的にはレベル3に該当します。
ただし、タイル下地モルタルや耐火モルタルなど、一部は施工時や解体時に粉じんが飛散しやすい場合もあるため、状況次第ではレベル2と判断されることもあります。調査の上、適切な飛散防止措置が必要です。
モルタルのアスベスト除去方法はどうする?
モルタルにアスベストが含まれていた場合、まずは石綿含有建材調査者などの資格者による事前調査が必要です。
除去方法としては、レベル3(非飛散性)に該当する場合でも、湿潤化・養生・飛散防止対策が求められます。
外壁モルタルなどの場合は、高所作業や養生範囲が広がるため、費用と安全管理の両面で専門業者への依頼が必須です。 また、アスベストを含むモルタルは産業廃棄物として適切に処分する必要があります。
アスベストを含有したモルタルを除去するならラボテックに相談
モルタルには、混和材や下地材としてアスベストが使用されていた可能性があり、特に1980年代以前の建物では注意が必要です。外壁やタイル下地など、目に見えない部分に含まれていることも多く、事前調査を怠ると法令違反や健康被害のリスクが高まります。
アスベストの有無は目視では判断できず、必ず有資格者による調査と適切な除去が必要です。
「モルタルにアスベストが使われているか心配…」という方は、まず専門機関への相談をおすすめします。安全・法令遵守のためにも、調査から除去まで信頼できる業者に依頼しましょう。
アスベストとロックウールの違いとは?見分け方や危険性を解説
アスベストとロックウールの違いとは?見分け方や危険性を解説
「ロックウールはアスベストなのでは?」「断熱材に使われているこの綿状の素材、本当に安全?」こうした疑問を持つ方は少なくありません。
アスベストとロックウールは見た目や使用用途が似ていることから、しばしば混同されがちです。しかし実際は、両者の素材の成り立ちや健康リスク、法規制の有無において大きな違いがあります。
本記事では、アスベストとロックウールの違いを「構造的な特徴」「用途」「安全性」といった視点からわかりやすく解説。 「ロックウールは安全か?」「古い建物に使われているものは大丈夫か?」といった不安を解消できるよう、見分け方や調査方法、処分方法の違いも詳しくご紹介します。
アスベストのリスクを正しく理解し、ロックウールとの違いをしっかり把握することは、住宅や建物の解体・リフォーム時に非常に重要です。 「なんとなく不安…」という方も、この記事を読むことで、安心して適切な対応が取れるようになるでしょう。
アスベスト調査はどこがいい?
アスベストの事前調査業者を探しているなら、アスベスト調査専門のラボテックがおすすめ!
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アスベストとロックウールの違いとは?
「ロックウールはアスベストなのでは?」「断熱材に使われているこの素材、危険性はないの?」こうした疑問を持つ方は少なくありません。見た目や用途が似ていることから、アスベストとロックウールは混同されがちです。
しかし、両者はまったく異なる素材であり、健康リスクや規制状況にも大きな違いがあります。
この見出しでは、アスベストとロックウールの根本的な違い、それぞれの使われ方などの観点から、誤解を解消できるよう丁寧に解説します。
それぞれの素材の概要と特徴
アスベスト(石綿)は、天然に産出される鉱物繊維で、耐火性・断熱性・絶縁性に優れており、1970〜1980年代まで建材や断熱材に広く使用されました。
ただし吸引により健康被害(中皮腫・肺がんなど)を引き起こすリスクがあるため、日本では2006年以降ほぼ全面禁止となっています。
ロックウールは、天然の岩石(玄武岩やスラグなど)を高温で溶かし、綿状に加工した人工鉱物繊維です。アスベストと同様に断熱性・吸音性・耐火性を持ちますが、化学的性質や健康影響が異なり、現在も一般的な断熱材として広く利用されています。
主な用途の違い(建材・断熱材など)
項目 | アスベスト | ロックウール |
主な使用年代 | 〜2006年(全面禁止) | 現在も使用可 |
用途 | 吹付材、断熱材、天井・外壁下地など | 断熱材、吸音材、耐火被覆材 |
使用場所 | 工場、学校、ビル、住宅など | 住宅、公共施設、プラント施設など |
主な製品例 | 吹付けアスベスト、スレート、接着剤など | ロックウール吸音板、断熱ボードなど |
両者は耐火性・断熱性を求める場面で共通して使われることが多く、建物の構造やリフォーム時にその違いを見分けるのが難しいケースもあります。
なぜ混同されやすいのか?
アスベストとロックウールが混同されやすい理由は以下の通りです。
- 見た目が似ている:どちらも白〜灰色の繊維状素材で綿のような質感。
- 使用目的が類似している:どちらも断熱・吸音・耐火を目的に建材として使用。
- 建物の同じ部位に施工されていることがある:特に天井裏や壁の内部など。
- 古い建物では混在しているケースもあった:当時の工事記録が不明確な場合、ロックウールと思われていたものにアスベストが混入している事例もある。
そのため、見た目や材質名だけで安全性を判断するのは危険です。建物の築年数や材質不明の場合は、専門機関による調査が推奨されます。
ロックウールにアスベストは含まれている?
「ロックウールにもアスベストが含まれているのでは?」と心配される方もいますが、基本的にロックウールはアスベストを含まない建材です。ただし、一部の時期・製品では混在のリスクがあるケースも報告されています。
この見出しでは、アスベスト含有が疑われるロックウールの特徴や過去の事例、そして現在流通している製品の安全性について詳しく解説します。
アスベスト含有が疑われる時期・製品の特徴
原則としてロックウールはアスベストを含まない製品ですが、以下のようなケースではアスベスト含有の可能性があるため注意が必要です。
▼アスベスト混入が疑われる主な条件
- 施工時期が1970〜1980年代以前
- 建物用途が工場・公共施設・病院・学校などの耐火構造物
- 製品名が「吹付けロックウール」と表記されている
- 施工記録や製品ラベルが残っていない
特に「吹付けロックウール(通称:吹付けロック)」という名称の製品は、かつてアスベストを原料に一部使用していたことがあり、見た目だけでロックウールと判断するのは危険です。
含有されていた事例とその背景
過去には「ロックウール」と呼ばれていた製品の中に、実際にはアスベストを混合していた製品が存在しました。
これは、1970年代以前に耐火性や接着性を強化する目的で、アスベストが添加されていたためです。主な背景は以下の通りです。
- 施工性の向上:アスベストは繊維が細かく、ロックウールに比べて素材に粘りを与えるため、吹付作業がしやすくなると考えられていた
- コストの低さ:アスベストは安価で入手しやすく、大量に使われていた
- 当時の規制が甘かった:法規制が整備される前で、製品名に「ロックウール」とありながらアスベスト含有のものも流通していた
そのため、「ロックウール=安全」と決めつけるのではなく、製造年代・建物の築年数をもとに精査する必要があります。
現在流通しているロックウールの安全性
現在市販・流通しているロックウール製品には、アスベストは一切使用されていません。日本では2006年の全面使用禁止以降、アスベストを含む建材の製造・輸入・使用は法律で禁止されているため、以下の条件を満たす建物・製品は基本的に安全です。
▼現在のロックウールが安全とされる理由
- 製造過程でアスベストを使用しないことが明確に規定
- 日本工業規格(JIS)に適合した製品にはアスベスト非含有と明記
- 建材メーカーが成分表示で情報開示を実施
また、断熱材や吸音材としてのロックウールは、一般住宅やオフィスビルにも広く使われており、健康リスクは極めて低いとされています。
ただし、中古住宅やリノベーション物件などで使われている古いロックウールには注意が必要です。特に1980年以前の建材には、目視で判断できないケースもあるため、専門業者によるアスベスト含有調査を推奨します。
アスベストが含まれているかの見分け方と調査方法
建材にアスベストが含まれているかどうかは、見た目だけでは判別が難しく、法的にも正確な調査が求められています。特にロックウールとの混同が多いため、初期判断から専門調査までのステップを知っておくことが重要です。
ここでは、いつ建てられた建物か、製品の特徴、専門調査の3つの視点で、アスベスト含有の可能性を見分ける方法を解説します。
築年数・施工時期で見分ける
まず注目すべきは、建物の築年数や使用された製品の製造時期です。日本では、2006年9月以降、アスベストを含む製品の製造・使用が原則禁止されており、それ以前に建てられた建築物は注意が必要です。
特に以下の時期に該当する建物では、アスベスト使用の可能性が高いとされています。
- 1975年以前:アスベスト使用のピーク時
- 1980年代前半:一部規制が始まったが、使用例あり
- 2004年以前:製造が段階的に禁止されつつも在庫使用があった可能性あり
建築確認申請の日付や竣工年月を確認することで、注意が必要な建物かわかります。
見た目・質感・ラベル表示で見分ける
アスベストとロックウールは見た目が似ているため混同されがちですが、いくつかの外観的な違いで判別できることがあります。
ロックウールは白〜黄褐色で繊維が太くチクチクした感触
アスベストはグレーがかった白色で、繊維が非常に細かく柔らかい
また、製品ラベルや梱包材に「ロックウール」と記載がある場合は、アスベスト非含有であることが多いです。ただし、成分表記のない古い建材や、経年劣化で見分けがつかなくなった材料では判断が難しくなります。
専門業者の調査で見分ける
最終的には、専門業者によるアスベスト調査がもっとも確実です。調査は以下の手順で進められます。
- 事前調査(目視・図面確認)
- サンプリング調査(試料採取)
- 分析調査(定性・定量分析)
調査は、「石綿含有建材調査者」等の資格者による実施が法令で義務化されています(2023年10月以降)。また、JISに準拠した分析によって、アスベストが含まれているか精密に判定されます。
調査結果は、建材がアスベスト含有かどうかを証明する法的根拠にもなります。解体や改修を行う前には、必ず調査を実施しましょう。
アスベストとロックウールそれぞれの危険性
アスベストとロックウールは、いずれも断熱材や防音材として用いられてきた鉱物系繊維ですが、その健康リスクや規制状況には大きな違いがあります。ここでは、それぞれの健康被害の可能性と、混同による誤解のリスクについて解説します。
アスベストによる健康被害
アスベスト(石綿)は、繊維が非常に細かく、吸い込むことで肺の奥深くまで入り込む性質を持ちます。その結果、以下のような深刻な健康被害を引き起こすことが知られています。
- 石綿肺(アスベスト肺)
- 悪性中皮腫
- 肺がん
- びまん性胸膜肥厚
これらは数十年という潜伏期間を経て発症するため、過去に暴露した人が現在になって症状を呈するケースも多く見られます。
日本ではこうしたリスクを背景に、アスベストの使用は2006年に原則全面禁止されました。
ロックウールの健康被害
ロックウールは、玄武岩や高炉スラグなどを高温で溶かして繊維化した人工鉱物繊維です。一時期「人工鉱物繊維もアスベストと同様に危険では?」との声がありましたが、現時点ではアスベストのような発がん性リスクは確認されていません。
国際がん研究機関(IARC)はかつてロックウールを「2B:ヒトに対する発がん性があるかもしれない」としていましたが、近年の改訂で「グループ3:ヒトに対する発がん性について分類できない」に変更されています。
つまり、ロックウールは適切に取り扱えば、健康被害の懸念は非常に低いとされています。
参考:発ガン性は、ありますか? - 日本ロックウール株式会社
誤解を招く情報に注意
インターネットや一部メディアでは、「ロックウール=アスベスト」のような誤解を与える情報が散見されますが、これは正確ではありません。
- ロックウールはアスベストとは別物の素材
- 現在流通しているロックウール製品にアスベストは含まれていない
- ただし、古い建物ではアスベスト含有製品との混在の可能性がある
このような誤情報に惑わされず、正しい知識と専門的な調査に基づいた判断が重要です。リフォームや解体を検討している場合は、事前に有資格者によるアスベスト調査を行うことをおすすめします。
ロックウールの処分・アスベストとの対応の違い
アスベストとロックウールは素材としての性質や健康影響が大きく異なるため、解体や改修時の処分方法にも明確な違いがあります。この見出しでは、アスベストとロックウールそれぞれの処分における取り扱い方の違いと、注意すべき確認ポイントについて詳しく解説します。
アスベスト含有材の処分方法(特別管理産業廃棄物)
アスベストが含まれている建材は特別管理産業廃棄物として法的に厳格に管理・処分されることが義務づけられています。
- 処分方法は「廃棄物処理法」「大気汚染防止法」「労働安全衛生法」などの複数の法律に基づく
- 除去作業は石綿作業主任者などの資格保有者が対応
- 飛散防止措置(養生・湿潤化・負圧集塵装置など)が必要
- 除去後は密閉容器に梱包し、都道府県の許可を受けた処理施設で適正に処分
- 廃棄伝票(マニフェスト)の提出が必須
アスベスト含有の可能性があるかどうかは、必ず事前に分析調査で確認し、結果に応じて処分計画を立てる必要があります。
ロックウールは通常の廃棄でOK?
ロックウールは、アスベストを含まない人工鉱物繊維(MMMF)であるため、以下のように通常の産業廃棄物として処分可能です。
- 一般的には「無害な建設廃材」として扱われ、特別な処分手続きは不要
- 付着している塗材や接着剤にアスベストが含まれている可能性がある場合は、念のためサンプリング・分析を行うことが望ましい
- 処分に関しては、地域の廃棄物処理業者や自治体の指針に従うのが基本
つまり、現在流通しているロックウール製品や明らかにアスベスト非含有と判断できる場合は、特別な処分対応は不要です。
処分時に確認すべきポイント
ロックウールかアスベストかによって、処分方法は大きく異なるため、処分前に以下の点を確認することが重要です。
確認ポイント | 内容 |
建材の製造年代 | 2006年以前の建物はアスベスト含有の可能性あり。特に1975年以前は注意 |
建材の種類・用途 | 吹付け材、耐火被覆材などはアスベスト含有率が高い傾向 |
製品の型番・メーカー情報 | 一部の製品はメーカー資料からアスベスト含有の有無を確認可能 |
専門業者の分析結果 | 目視では判断できないため、定性分析・定量分析による確認が最も確実 |
処分を進める前に、「ロックウールか?アスベストか?」の見極めを怠ると、違法な処理や健康被害のリスクにつながるため、慎重な対応が求められます。
まとめ
アスベストとロックウールは外見や用途が似ているため混同されがちですが、性質や危険性、処分方法には明確な違いがあります。
アスベストは吸引による健康被害の恐れがあり、除去や廃棄は厳格な法規制の対象となります。一方、ロックウールは通常の産業廃棄物として処理可能であり、現在流通している製品にアスベストは含まれていません。
ただし、古い建物に使用されたロックウールには含有の可能性もあるため、見分けがつかない場合は必ず調査・分析を実施しましょう。解体や改修時には、専門業者への相談が安心です。
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