土壌汚染調査のボーリングとは?必要なケース・分かること・調査の流れを解説

土壌汚染調査では、地表の土を調べるだけでは汚染の実態を把握できないケースがあります。過去に薬品や油類を扱っていた土地では、汚染物質が地中深くまで浸透している可能性があり、表層採取だけでは見逃してしまう恐れもあります。

そこで重要になるのが、地中を掘削して深さごとに土を採取する「ボーリング調査」です。

本記事では、土壌汚染調査におけるボーリングの意味や必要になるケース、調査で分かること、注意点まで分かりやすく解説します。適切な調査計画を立て、精度の高い判断につなげましょう。

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土壌汚染調査におけるボーリングとは

土壌汚染調査におけるボーリングとは、地面を掘削して深い位置の土を採取し、汚染の有無や広がりを深さ方向まで確認する調査方法です。土壌汚染は地表付近だけでなく、地中の一定深度に残っている場合もあり、表層の採取だけでは実態を把握できないケースがあります。

ボーリング調査を行うことで、どの深さで汚染物質が検出されるのかを把握しやすくなり、対策工事の範囲や必要性を判断するための重要な材料になります。

ボーリング調査の意味(深度別に採取・確認する方法)

ボーリング調査は、地中を掘り進めながら深さごとに土を採取し、層別に汚染状況を確認する方法です。例えば一定の深度ごとに試料を分けて分析することで、汚染が表層に限られているのか、深部まで広がっているのかを判断できます。

土壌汚染は地層や水の流れの影響を受けるため、深度別のデータがあると汚染の特徴をつかみやすくなります。単なる採取作業ではなく、深さ方向の分布を明確にするための調査手法として重要です。

 

表層採取との違い

表層採取は、地表から数cm〜20cm程度の浅い土を採取し、表面付近の状態を確認する方法です。比較的簡易に実施でき、土地の傾向把握や初期確認に向いています。一方、ボーリング調査は地中深くまで掘削し、深度ごとに試料を採取するため、作業には専用機材と技術が必要になります。

表層では問題がなくても深部で汚染が検出される場合があるため、より詳細な評価が求められる場面ではボーリングが必要です。調査目的によって使い分けることが重要になります。

ボーリングが必要になる理由(深部汚染・地下水への影響)

ボーリングが必要になる最大の理由は、汚染が深部に存在する可能性があるためです。過去に薬品や油類を扱っていた土地では、漏えいや浸透によって汚染物質が地中へ移動し、表層では確認できない深さに残っていることがあります。

また、汚染が地下水に到達すると、敷地外への拡散リスクや環境への影響も懸念されます。ボーリング調査により深度別の汚染状況を把握できれば、対策の必要性や範囲を適切に判断しやすくなり、過不足のない対応につながります。

ボーリング調査が必要になるケース

土壌汚染調査では、表層の採取だけで状況を判断できる場合もありますが、土地の履歴や周辺環境によってはボーリング調査が欠かせないケースがあります。

特に、過去に化学物質や燃料を扱っていた土地では、汚染が地中深くまで浸透している可能性があり、表面だけでは実態を把握できません。また、汚染が地下水へ影響する恐れがある場合は、深度別に確認することが重要になります。ボーリング調査は、汚染の見逃しを防ぎ、適切な対策につなげるための有効な方法です。

工場跡地・事業用地で汚染リスクが高い場合

工場跡地や事業用地は、土壌汚染のリスクが比較的高い土地としてボーリング調査が検討されやすい代表例です。製造工程で薬品や金属、油類を扱っていた場合、漏えいや設備トラブルなどにより汚染物質が地中へ浸透している可能性があります。

また、長期間にわたり同じ用途で使用されていた土地ほど、蓄積的に汚染が進んでいるケースもあります。表層に異常が見られなくても、深部で汚染が確認されることがあるため、深度方向まで確認できるボーリング調査が重要になります。

特定有害物質の使用履歴がある場合

過去に特定有害物質を使用していた履歴がある土地では、ボーリング調査による確認が必要になることがあります。例えば、洗浄剤や溶剤、金属加工に関わる薬品などは、取り扱い状況によって土壌へ影響を与える可能性があります。

保管場所や作業場所が限定されている場合でも、浸透や流出により周辺へ広がることもあるため注意が必要です。使用履歴が明確な場合は、リスクが高い箇所を重点的に設定し、深さごとの状況を把握することで、汚染の見逃しを防ぎやすくなります。

汚染が深部に広がる可能性がある場合

汚染物質の種類や土地の地質条件によっては、汚染が表層にとどまらず深部まで広がる可能性があります。例えば、透水性が高い地盤では雨水などの影響で汚染物質が下方向へ移動しやすく、一定深度に汚染が集中することもあります。

また、埋設物や盛土の影響で地層が複雑になっている土地では、汚染の広がり方が読みづらくなる場合があります。こうしたケースでは、表面だけの調査では不十分なため、ボーリングによる深度別採取が有効になります。

地下水汚染が懸念される場合

地下水汚染が懸念される場合は、ボーリング調査によって深部の状況を確認することが重要です。汚染が地下水面付近まで到達すると、敷地内だけでなく周辺地域へ影響が及ぶ可能性があり、リスク管理の観点からも慎重な評価が求められます。

特に井戸水の利用がある地域や、地下水位が浅い土地では注意が必要です。ボーリング調査により、汚染がどの深さまで及んでいるかを把握できれば、地下水への影響評価や対策の検討がしやすくなります。

土壌汚染調査のボーリングで分かること

土壌汚染調査のボーリングでは、地表だけでは把握できない「深さ方向の汚染状況」を確認できます。汚染がどの深度で発生しているのか、どの範囲まで広がっているのかを把握できるため、対策の必要性や工事範囲の判断に直結します。

また、地層の違いによって汚染の広がり方が変わるケースもあるため、土質や層構成を確認できる点も重要です。表層採取よりも詳細な情報を得られることが、ボーリング調査の大きな特徴です。

深さごとの汚染分布(どの深度で検出されるか)

ボーリング調査では、深度別に採取した土を分析することで、汚染がどの深さで検出されるのかを確認できます。土壌汚染は表層だけに存在するとは限らず、地中の一定深度で濃度が高くなるケースもあります。

深さごとのデータがあれば、汚染が浅い範囲にとどまるのか、深部まで浸透しているのかを判断しやすくなります。対策工事を検討する際も、必要な掘削深さや処理範囲を決める材料となるため、深度別の把握は非常に重要です。

汚染範囲の推定(対策工事の判断材料)

ボーリング調査の結果から、汚染が存在する範囲を推定しやすくなります。複数地点で深度別の分析を行うことで、敷地内のどのエリアに汚染が集中しているのか、どの方向へ広がっている可能性があるのかを整理できます。

汚染範囲が明確になると、掘削除去や土壌入替などの対策工事を「必要な範囲だけ」に絞り込みやすくなり、過剰な工事によるコスト増を抑えることにもつながります。適切な判断を行うための根拠として、ボーリング調査は有効です。

地層の状況(砂・粘土など)と汚染の関係

ボーリング調査では、土を採取する過程で地層の状況も把握できます。例えば砂質の地層は水が通りやすく、汚染物質が下方向へ移動しやすい傾向があります。

一方、粘土質の地層は水を通しにくく、汚染物質が特定の層に滞留しやすい場合があります。このように地層の性質は、汚染の広がり方や残り方に影響します。

地層情報と汚染データを合わせて評価することで、汚染の原因や拡散リスクをより現実的に判断しやすくなります。

ボーリング調査の流れ(現地作業〜分析まで)

ボーリング調査は、いきなり掘削するのではなく、事前調査と計画作成から始まります。土地の利用履歴やリスクを整理し、調査地点や採取深度、分析項目を決めたうえで現地作業に進みます。

現場ではボーリング掘削を行い、深度別に土を採取して適切に管理・搬送します。その後、分析結果を整理し、汚染の有無や分布を評価して報告書にまとめます。各工程で管理が不十分だと結果の信頼性が下がるため、計画から報告まで一貫した品質管理が重要になります。

手順1:事前調査・調査計画の作成

ボーリング調査の第一歩は、事前調査と調査計画の作成です。過去の土地利用履歴や設備配置、使用していた物質などを整理し、汚染リスクを把握します。

そのうえで、調査の目的に合わせて採取地点数、掘削深さ、採取間隔、分析項目を決定します。計画が曖昧だと、必要なデータが不足したり、無駄な調査が増えたりする原因になります。

ボーリング調査は費用と工数がかかるため、最初の計画設計が調査の精度と効率を左右します。

手順2:調査地点の設定(メッシュ・重点箇所)

次に、敷地内でどこを掘削するか調査地点を設定します。敷地全体を把握するためにメッシュで区画分けする場合もあれば、薬品保管場所や排水周辺など汚染リスクが高い箇所を重点的に選ぶこともあります。

調査地点の設定が偏ると汚染を見逃す可能性があるため、土地の形状や利用履歴、現地状況を踏まえてバランスよく配置することが重要です。

調査目的が汚染範囲の把握なのか、原因特定なのかによって地点設定の考え方も変わります。

手順3:ボーリング掘削・深度別採取

現地ではボーリング機材を用いて掘削し、計画した深度ごとに土を採取します。深度別採取では、採取する層が混ざらないように管理しながら作業を進めることが重要です。

掘削時の崩れや器具の汚れによって混入が起こると、分析結果に影響する可能性があります。

また、埋設物がある敷地では作業が制限されることもあるため、現地で状況を確認しながら安全に進める必要があります。正確な深度管理と丁寧な採取が、調査精度を大きく左右します。

手順4:試料の管理(ラベル・密閉・搬送)

採取した試料は、地点・深度が分かるようにラベルを貼り、確実に管理します。土壌汚染調査では採取点数が多くなりやすいため、ラベルの記入ミスや取り違えは大きなトラブルにつながります。

また、試料は密閉して外気や水分変化の影響を抑え、できるだけ早く分析機関へ搬送することが基本です。保管や搬送の管理が不十分だと、土の状態が変化して分析結果の信頼性が下がる可能性があります。採取後の管理まで含めて調査品質と考えることが重要です。

手順5:分析・結果整理・報告書作成

搬送した試料は分析機関で検査され、汚染物質の有無や濃度が数値として示されます。その後、深度別・地点別の結果を整理し、敷地内の汚染分布や傾向を評価します。必要に応じて追加調査の検討や、対策工事の範囲設定につなげることもあります。

最終的には、調査結果をまとめた報告書を作成し、関係者へ説明できる形に整えます。ボーリング調査は「掘って終わり」ではなく、結果をどう判断し次の行動につなげるかが重要になります。

ボーリング調査の注意点(失敗しやすいポイント)

ボーリング調査は深度別に汚染状況を確認できる一方で、採取方法や現場管理を誤ると調査精度が大きく低下します。特に注意したいのが、採取深度の設定ミスによる汚染の見逃し、掘削時の混入(クロスコンタミ)による誤検出です。

また、採取後の保管・搬送が不適切だと試料の状態が変化し、正しい評価が難しくなる場合があります。さらに、埋設物や狭小地など現地条件によって作業が制限されることもあるため、事前の確認と計画が重要になります。

採取深度が不適切で汚染を見逃す

採取深度が適切でないと、汚染が存在していても検出できず、誤った判断につながる恐れがあります。例えば、汚染物質が表層ではなく一定深度に集中している場合、浅い範囲だけを採取すると汚染を見逃す可能性があります。

反対に、必要以上に深い層まで混ぜて採取すると、汚染が薄まって実態が分かりにくくなることもあります。ボーリング調査では、調査目的や対象物質の特性を踏まえ、深度設定を計画段階で整理し、現場でも深さを正確に管理することが重要です。

掘削時の混入(クロスコンタミ)

ボーリング掘削では、掘削機材や採取器具に付着した土が原因で、別の深度や別地点の土が混ざる「クロスコンタミ」が発生することがあります。

混入が起きると、本来汚染がない層で数値が上がったり、逆に汚染の位置が不明確になったりする恐れがあります。特に微量の汚染物質を評価する場合は、わずかな混入でも結果に影響します。深度ごとに採取方法を統一し、器具の清掃や管理を徹底することが、信頼性の高い調査につながります。

試料の保管・搬送で性質が変わる

採取した試料は、保管や搬送の方法によって状態が変化する可能性があります。密閉が不十分だと乾燥が進み、水分量が変わることで分析結果の比較が難しくなる場合があります。また、高温環境で長時間放置すると土の性質が変わったり、試料の劣化につながったりする恐れもあります。

採取後は袋や容器を確実に密閉し、ラベルを貼って管理したうえで、できるだけ早く分析機関へ搬送することが基本です。採取後の扱いも調査品質の一部として考える必要があります。

現地条件(埋設物・狭小地)で作業が難航する

ボーリング調査は現地条件の影響を受けやすく、埋設物や狭小地では作業が難航することがあります。例えば地下に配管や基礎、タンクなどが残っている場合、掘削位置が制限され、計画通りに作業できない可能性があります。

また、敷地が狭い、周辺に建物が近い、車両の搬入が難しいといった条件でも、使用できる機材や作業手順が限られます。事前に図面や現地確認を行い、作業可能な範囲で最適な計画を立てることが、スムーズな調査につながります。

まとめ

土壌汚染調査のボーリングは、深度別に土を採取して汚染の有無や分布を確認できる有効な方法ですが、進め方を誤ると調査精度が大きく下がります。採取深度が不適切だと汚染を見逃す恐れがあり、掘削時の混入が起きれば誤検出につながる可能性もあります。

また、試料の保管・搬送が不十分だと土の状態が変化し、結果の信頼性に影響します。埋設物や狭小地など現地条件による制約もあるため、事前調査と計画設計を丁寧に行い、確実な採取と管理を徹底することが重要です。

【2026年1月1日義務化】工作物石綿事前調査の義務化を解説

2026年1月1日より、工作物の解体・改修工事を行う際には、「工作物石綿事前調査者」という有資格者による事前調査が義務化されます。これにより、これまで対応が曖昧になりがちだった反応槽やボイラー、配管設備、発電設備などの工作物についても、工事着手前に適切な調査を実施しなければなりません。

石綿の使用有無にかかわらず、事前調査の実施と結果の報告が求められ、無資格者による調査は原則として法令違反となります。元請事業者や発注者が責任を問われるケースも想定されるため、法改正内容を正しく理解し、早期に対応体制を整えることが重要です。

本記事では、工作物石綿事前調査者の概要や対象設備、法改正のポイントについて分かりやすく解説します。

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【2026年1月1日施行】工作物石綿事前調査の法改正内容

2026年1月1日より、工作物の解体・改修工事を行う際の石綿事前調査に関する法令が改正され、調査体制と実施方法が大きく見直されました。

これまで建築物を中心に規制されてきた石綿事前調査は、工作物についても明確な義務として位置付けられ、事業者にはより厳格な対応が求められることになります。

法改正への理解不足は、工事の中断や行政指導につながる可能性があるため、早期の対応が重要です。

工作物における石綿事前調査が明確に義務化

2026年1月以降、反応槽やボイラー、配管設備、発電設備などの工作物を解体・改修する場合には、石綿事前調査の実施が法令上明確に義務付けられます。

これまで建築物ほど厳格に扱われてこなかった工作物も、石綿飛散防止の観点から規制対象となりました。

調査を実施せずに工事を開始した場合、労働安全衛生法違反となる可能性があります。工事規模の大小に関係なく、事前調査を前提とした工程管理が必要となります。

有資格者である「工作物石綿事前調査者」による調査が必須

今回の法改正により、工作物の事前調査は「工作物石綿事前調査者」という有資格者が実施しなければなりません。これにより、経験則や簡易的な判断による調査は認められなくなります。

無資格者による調査は原則として法令違反となり、調査結果そのものが無効と判断される恐れがあります。元請事業者や発注者には、調査者の資格を確認する管理責任が求められます。

石綿の使用有無に関わらず調査と報告が必要

工作物に石綿が使用されていない場合であっても、事前調査の実施と結果の記録・保存、報告は必要です。石綿の有無を確認する行為そのものが義務であり、「使っていないから不要」という判断は認められません。

また、2006年9月以降に設置された工作物であっても、原則として調査対象となります。調査結果は労働基準監督署や自治体へ報告する必要があり、適切な書類管理が求められます。

工作物石綿事前調査の対象となる設備・工作物

工作物石綿事前調査の対象は、いわゆる「建物」だけではありません。2026年1月1日以降は、工場やプラント、発電所、各種インフラ設備などで用いられる設備類も「工作物」として整理され、解体・改修工事を行う前に石綿(アスベスト)の有無を調査することが義務となります。

ここで注意したいのは、建築物の外壁や天井材のように目に見える部材だけが対象ではない点です。工作物は設備内部や保温材、耐火被覆、ガスケット、パッキンなどに石綿含有材が使用されていることがあり、外観だけでは判断できません。

主な対象設備の具体例は以下をご覧ください。

主な対象設備の具体例

以下は、工作物石綿事前調査の対象として代表的に挙げられる設備例です。実際の現場では、設備本体だけでなく周辺機器、付帯設備、配管ライン、保温・耐火部材まで含めて調査範囲を設定することが重要です。

  • 反応槽
    化学プラントなどで使用される反応槽は、高温環境に対応するため保温材や耐熱材が施工されていることがあります。マンホール周辺のガスケット、フランジ部のパッキン、保温カバー内側など、外観から見えにくい部位の確認が必須です。

  • 加熱炉
    加熱炉は耐火材や断熱材が多用される設備で、過去の補修履歴によって材料が混在しているケースもあります。炉体の耐火れんが周辺、断熱層、点検口周辺材など、工事範囲に応じた重点調査が必要になります。

  • ボイラー・圧力容器
    ボイラーや圧力容器は、保温材・耐熱材の施工が一般的で、配管接続部や点検部に石綿含有材が使われている可能性があります。更新工事や分解整備では、断熱材の撤去を伴うことが多いため、事前調査の精度が工期と安全管理を左右します。

  • 焼却設備
    焼却炉や排ガス処理設備では、高温・腐食環境に耐えるため断熱材や耐火材が使用されることがあります。炉本体だけでなく、ダクト・集じん設備・煙道などの周辺部材も含めて確認し、撤去作業時の飛散リスクを見落とさないことが重要です。

  • 配電設備・変電設備
    受変電設備や配電盤周辺では、耐熱・絶縁目的で部材が使用されてきた例もあります。盤内の部材、ケーブル貫通部、耐火措置部など、設備更新のタイミングで露出する箇所を中心に調査範囲を設定します。

  • 送電設備(ケーブル含む)
    送電設備ではケーブルそのものだけでなく、ケーブルラック、貫通部の耐火措置材、保護材などが対象になり得ます。撤去・敷設替え工事では、既設の耐火・断熱部材に触れる可能性があるため、周辺まで含めた調査が必要です。

  • 配管設備(高圧配管・下水管含む)
    配管設備は工作物調査で特に重要度が高い分野です。配管の保温材、エルボやバルブ周辺の被覆材、フランジ部のガスケットなど、石綿含有材が使用されている可能性があります。高圧配管では断熱・保温のための施工が厚くなる傾向があり、下水管等でも旧来の材料が残っているケースがあるため注意が必要です。

  • 貯蔵設備
    タンク類や貯蔵設備では、本体の保温材だけでなく、付帯する配管ライン・弁・計装機器周辺の部材が対象となる場合があります。断熱材の撤去や補修を伴う工事は飛散リスクが高く、工事計画前の確認が不可欠です。

  • 発電設備
    発電所関連の設備は規模が大きく、ボイラー、タービン周辺、配管ライン、断熱・耐火措置など対象範囲が広がりやすいのが特徴です。部分更新でも関連設備に波及する可能性があるため、工事範囲を正確に把握し、調査漏れを防ぐ体制づくりが求められます。

  • 工業炉 など
    工業炉や乾燥炉などの炉設備全般は、耐火材・断熱材が多用され、補修材の履歴が複雑になりやすい領域です。撤去・改修の際に粉じんが発生しやすいため、調査の段階で材料の特定と作業手順の検討まで見据えることが重要です。

無資格者による工作物の石綿事前調査は法令違反

2026年1月1日以降、工作物の解体・改修工事における石綿事前調査は、有資格者である「工作物石綿事前調査者」が実施することが法令で義務付けられます。無資格者による調査は、その内容が正確であっても法的には原則認められず、労働安全衛生法違反となる可能性があります。

また、無資格調査が発覚した場合、工事の中断や是正指導、場合によっては罰則の対象となることも想定されます。特に元請事業者や発注者は、調査を誰が実施したかについて管理責任を問われる立場にあり、知らなかったでは済まされません。法改正後は、調査者の資格確認を含めた体制整備が不可欠です。

工作物石綿事前調査者の資格要件

工作物石綿事前調査者とは、工作物における石綿事前調査を適切に実施するため、国が定めた講習を修了した有資格者を指します。資格を取得するためには、登録講習機関が実施する専門講習を受講し、修了試験に合格する必要があります。

講習では、石綿に関する基礎知識だけでなく、工作物特有の構造や使用材料、図面確認の方法、現地調査の進め方など、実務に直結する内容が扱われます。

今後は、工作物の解体・改修工事に関わる事業者にとって、有資格者の確保や外部専門業者との連携が、法令遵守の観点から重要なポイントとなります。

なぜ専門業者へ石綿事前調査を依頼すべきなのか

工作物における石綿事前調査は、設備構造や使用材料が複雑であるため、調査漏れや判断ミスが発生しやすい分野です。図面だけでは把握できない部位や、過去の改修履歴によって石綿含有材が残存しているケースも少なくありません。

誤った判断のまま工事を進めると、工事中断や追加調査、作業員のばく露リスクといったトラブルにつながります。

法改正後は、有資格者による調査が必須となり、形式的な確認では法令遵守とは認められません。専門業者に依頼することで、調査範囲の適切な設定、法令に基づいた記録・報告、工事計画を見据えた助言まで一貫した対応が可能となり、発注者・元請双方のリスク低減につながります。

そもそも石綿事前調査とは何か?

石綿事前調査とは、建築物や工作物、船舶の解体・改修工事を行う前に、対象物に石綿が使用されているかを確認するための調査です。調査は設計図書の確認や現地調査を行い、必要に応じて分析を実施します。

建築物に加え、反応槽や配管設備などの工作物、船舶も対象となり、それぞれ法令に基づいた調査が求められます。工事中の石綿飛散による健康被害を防止するため、着工前の事前調査が義務付けられています。 

工作物石綿事前調査の義務化に関するよくある質問

工作物の石綿事前調査はいつから義務ですか?

2026年1月1日以降、工作物の解体・改修工事を行う場合は、石綿(アスベスト)の使用有無にかかわらず、事前調査の実施が法令で義務付けられています。

調査は有資格者である「工作物石綿事前調査者」が行う必要があり、無資格者による調査は認められません。義務を怠った場合、労働安全衛生法違反となる可能性があります。

アスベスト事前調査の対象となる工作物とは?

アスベスト事前調査の対象となる工作物には、反応槽、加熱炉、ボイラー・圧力容器、焼却設備、配管設備、配電設備、変電設備、送電設備(ケーブル含む)、貯蔵設備、発電設備、工業炉などが含まれます。

建築物以外の設備であっても、解体・改修工事を行う場合は対象となるため、「設備工事だから不要」という判断は誤りです。

アスベストの事前調査が不要な工作物はありますか?

原則として、事前調査が不要となる工作物はほとんどありません。

2006年9月以降に設置された工作物であっても、石綿が使用されていないことを確認するための調査自体は必要です。石綿含有材が使われていない場合でも、その判断を行うための事前調査と記録・報告が求められます。

自己判断で「不要」とすることは法令上認められていません。

工作物石綿事前調査者とはどのような資格ですか?

工作物石綿事前調査者とは、厚生労働省が定める登録講習機関の講習を修了した有資格者です。

講習では、石綿に関する基礎知識に加え、工作物特有の構造や使用材料、調査手法、記録・報告方法などが学ばれます。2026年以降は、この資格を有する者でなければ工作物の石綿事前調査を実施できません。

工作物の石綿事前調査はラボテックへご相談ください

ラボテックでは、反応槽やボイラー、配管設備、発電設備など、各種工作物を対象とした石綿事前調査に対応しています。図面確認から現地調査、必要に応じた分析、報告書作成までを一貫して行い、法令に沿った確実な調査を実施します。


2026年の法改正を見据え、調査者資格を有する体制で対応しているため、元請事業者・発注者の法令遵守をサポートします。工作物の解体・改修工事をご検討の際は、まずはラボテックへご相談ください。

 

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