安全キャビネットの点検・検査で従業員を守るラボテックのサービス

安全キャビネットは、病原体や抗がん剤を扱う従業員を守るための設備であり、JIS K3800で年 1 回の定期点検が求められています。前面流入風速や HEPAフィルタの漏れ、気流方向といった“封じ込め性能”は目に見えず、専門の測定でしか確認できません。ラボテックは、性能検査から除染・フィルター交換までを対応。病院・無菌室での検査実績を根拠に、貴施設の安全キャビネットの安全性を証明します。

安全キャビネットの点検・検査
従業員を守る封じ込め性能を、
数値で証明します

安全キャビネット(生物学用安全キャビネット、BSC:Biological Safety Cabinet)は、病原体・遺伝子組換え生物・細胞・抗がん剤などを扱う際に、作業者・試料・環境の 3 つを守るための設備です。医療機関の検査室や無菌室、製薬、研究機関、大学など、幅広い現場で使われています。

なかでも重要なのが、日々その前に立つ従業員を、感染や薬剤への曝露から守るという役割です。安全キャビネットの封じ込め性能が低下していても、見た目や動作音では気づけません。気づかないまま使い続けることは、そこで作業する従業員をリスクにさらすことに直結します。

一方で、「安全キャビネットとクリーンベンチ・ドラフトチャンバーの違いが分からない」「クラスⅠ・Ⅱ・Ⅲやタイプ A2 などの選び方が不明」「陰圧や気流の仕組みが曖昧」「定期点検が必要と聞いたが、何を・どの頻度で・どこに頼むのか分からない」といったお悩みも少なくありません。安全キャビネットは“設置して終わり”ではなく、フィルタの目詰まりや気流の乱れによって封じ込め性能が徐々に低下するため、JIS K3800に基づく定期的な点検・性能検査が欠かせません。

本ページでは、安全キャビネットの種類・クラス・仕組み・正しい使い方といった基礎知識から、JIS K3800で必須とされる定期点検・性能検査の項目、除染や HEPAフィルターの交換、抗がん剤調製や BSL(バイオセーフティレベル)との関係までを、病院での検査実績を持つラボテックが専門家の視点で解説します。

安全キャビネットの管理、
こんなお悩みはありませんか?

安全キャビネットを日々使用・管理するなかで、次のようなお悩みを感じたことはないでしょうか。

安全キャビネットの管理に関する5つのお悩み

安全キャビネットとは?目的と3つの保護

安全キャビネット(生物学用安全キャビネット、BSC)とは、病原体・遺伝子組換え生物などのバイオハザードを封じ込め、作業者と周囲の環境を汚染から守るための装置です。前面が開口したボックス状の構造で、庫内を周囲より低い「陰圧」に保ち、汚染された空気を HEPAフィルタで清浄化してから排気することで、危険な微生物やエアロゾル(飛沫核)が外部へ漏れ出すのを防ぎます。

安全キャビネットが守るのは、次の「3つの保護」です。第一に、前面開口部からの流入気流(インフロー)によって、庫内のエアロゾルが作業者側へ漏れるのを防ぐ「作業者の保護」。第二に、HEPAフィルタを通した清浄な下降気流(ダウンフロー)によって、外部の塵や菌が試料へ混入するのを防ぐ「試料(検体)の保護」。第三に、排気をHEPAフィルタで清浄化することによる「環境の保護」です。この3つを同時に満たせる点が、試料の保護のみを目的とするクリーンベンチとの決定的な違いです。

安全キャビネットの原理・仕組み
(気流と陰圧)

安全キャビネットの安全性は、3つの気流のバランスによって支えられています。①前面開口部から庫内へ吸い込む「流入気流(インフロー)」が、作業者側へのエアロゾル漏れを防ぐエアバリアとなります。②天井のHEPA/ULPA フィルタから作業空間へ垂直に吹き下ろす「下降層流(ダウンフロー)」が、試料を清浄に保ちます。③使用後の空気は、HEPAフィルタを通してから排気されます。庫内が陰圧に保たれ、これらの気流が設計どおりに流れて初めて封じ込めが成立します。逆に、前面流入風速の低下やフィルタの目詰まり、気流の乱れが生じると封じ込め性能が損なわれるため、後述の定期点検・性能検査で気流を数値・可視化の両面から確認することが不可欠です。

安全キャビネットが使われる
主な場面・用途

安全キャビネットは、感染性のある微生物・ウイルス・細菌の取り扱い、細胞培養、遺伝子組換え実験、結核菌などの検査、抗がん剤(危険薬)の調製など、作業者や環境への曝露リスクがある作業で使用されます。具体的には、病院の細菌検査室・無菌室、製薬企業の品質管理・研究部門、大学や公的機関の研究施設、食品・化粧品分野の微生物試験などが代表例です。扱う対象の危険度(後述の BSL)に応じて、適切なクラス・タイプの安全キャビネットを選定します。

安全キャビネットとは
安全キャビネットの断面図と3つの保護(作業者・試料・環境)

安全キャビネットの点検は「従業員を守る」ための設備管理です

安全キャビネットの定期点検は、規格や法令への対応であると同時に、そこで作業する従業員を守るための設備管理です。管理者から見れば年に一度の記録でも、毎日その前に立つ従業員にとっては、自分と周囲の安全が保たれているかどうかの問題です。

封じ込め性能が低下していても、キャビネットは変わらず動いているように見えます。ファンの音がして、照明が点き、シャッターも動く。しかし、前面流入風速がわずかに落ちているだけで、庫内のエアロゾルが作業者側へ漏れ出すことがあります。HEPAフィルタの取付部に微小な漏れがあれば、未ろ過の空気がそのまま排気されます。いずれも、目視や日常の使用感では気づけません。

点検を怠ることで従業員が負うリスク

  • 定期的な確認(バリデーション):設計清浄度を維持できていることを、定期的に測定・記録する。 最も多いご依頼です
  • 感染性微生物・結核菌などの検体を扱う作業での、エアロゾル曝露による感染リスク
  • 抗がん剤(危険薬)の調製作業での、薬剤曝露による健康影響
  • 封じ込めの不備に気づかないまま作業を続けることによる、周囲の作業者・環境への二次的な汚染

だからこそ、封じ込め性能は「測って、数値で残す」必要があります。年 1 回の定期点検で前面流入風速やHEPAフィルタの漏れ、気流方向を確認し、その結果を報告書として保管しておくことが、従業員に対して「この設備は安全です」と説明できる唯一の根拠になります。

また、点検の記録は、労働安全衛生の観点からの説明責任や、万一の事故発生時の状況説明にも役立ちます。ラボテックの検査報告書は、全項目の測定値と判定基準を並べて記載するため、施設内での共有・説明資料としてもご活用いただけます。

従業員を守る設備管理
封じ込め性能が正常な場合と低下した場合の気流の違い

安全キャビネットの選び方|4つのポイント

安全キャビネットを新規導入・更新する際は、次の 4 つのポイントで選定します。

  1. 用途の BSL(バイオセーフティレベル)と扱う物質に合うクラス・タイプを選ぶ(微生物のみか、 揮発性化学物質・抗がん剤を伴うか)
  2. 設置環境・スペースを考慮する(周囲 30〜35cm の余裕、排気方式=室内循環か屋外排気か、電 源・重量)
  3. フィルターの種類(HEPA/ULPA)と交換のしやすさを確認する
  4. 関連法令・設置基準(感染症法・労働安全衛生法・各種ガイドライン)を遵守する

なお、適切な機種を選定しても、性能を保つには設置後の定期点検が欠かせません。導入時の据付後にも性能確認検査を行い、輸送・据付による気流バランスの変化がないかを確認します。

安全キャビネットに定期点検が必要な理由
(法令・JIS K3800)

安全キャビネットは、設置して終わりの設備ではありません。使用を続けると、HEPAフィルタが徐々に目詰まりして風速が低下したり、気流バランスが崩れたりして、封じ込め性能が知らないうちに低下していきます。こうした劣化は目視ではまったく分からないため、専門業者による定期的な測定と記録が不可欠です。

安全キャビネットの規格である JIS K3800では、少なくとも年 1 回(腐食性物質を扱う場合は年 2 回)の定期点検が求められています。医療施設では関連する規則により定期的な点検・記録が必要とされ、感染症法や労働安全衛生法の観点からも、性能が維持されていることを客観的な記録として残すことが重要です。

定期点検・随時点検・移設時点検の違い

安全キャビネットの点検には、大きく3種類があります。①年1回(腐食性物質は年2回)実施する「定期点検」。②HEPAフィルターの交換後や、異常・気流警報の発生時などに行う「随時点検」。③新規設置や移設のタイミングで行う「性能確認検査(据付時検査)」です。特に移設・設置の後は、輸送や据付の衝撃で気流バランスが変わるため、必ず性能確認を行う必要があります。

安全キャビネットの点検・性能検査項目
【JIS K3800 準拠】

ラボテックの安全キャビネット検査は、JIS K3800に基づいて実施します。単なる動作確認ではなく、封じ込め性能そのものを校正済みの測定機器で数値化・可視化するのが特長です。検査項目は、役割ごとに次の3つのグループに整理できます。

グループ検査項目確認する内容判定基準(例)
Ⅰ. 電気・安全絶縁抵抗検査電気安全の確認1MΩ 以上
動作検査シャッター・照明・殺菌灯・警報の確認正常に動作すること
設備電力検査消費電力の確認仕様値の範囲内
Ⅱ. 気流・封じ込め吹出風速検査下降層流(ダウンフロー)の風速設定値の規定範囲内
前面流入風速検査作業者を守る封じ込め気流(インフロー)A2 型は 0.5m/s 以上
開口当たり排気風量検査排気量の確認タイプ A≧0.07 m³/s
HEPAフィルター走査検査フィルタ・取付部の漏れ確認透過率 0.01%以下
気流方向検査気流の向き・漏れの可視化煙の漏出がないこと
Ⅲ. 作業環境清浄度検査庫内の清浄度(参考測定)庫内に清浄な気流が供給されていること
騒音検査作業環境の確認67dB(A)以下
照度検査手元の視認性の確認1000lx 以上
スクロールコメント
点検・性能検査項目
安全キャビネットの検査項目を 3 つのグループに整理した図

Ⅰ. 電気・安全に関する検査

絶縁抵抗を測定して電気的な安全を確認し、シャッターの開閉・照明・殺菌灯・シャッター警報が正常に動作するかを検査します。あわせて設備電力を確認します。実際の検査では、絶縁抵抗は基準 1MΩ 以上に対し実測 110MΩ 以上で合格でした。

Ⅱ. 気流・封じ込め性能に関する検査(最重要)

従業員を守る封じ込め性能の要となる気流を測定します。天井から下降する吹出風速(ダウンフロー)、前面開口から吸い込む前面流入風速(インフロー)、開口当たりの平均排気風量を、校正済みの風速計で複数点測定します。特に前面流入風速は、作業者を守るエアバリアの強さを示す最重要項目です。実際の検査では、吹出風速 0.432m/s(設定 0.440)、前面流入風速 0.562m/s(A2 基準 0.5m/s 以上)、開口当たり排気風量 0.141 ㎥/s(タイプ A 基準 0.07 ㎥/s 以上)で、いずれも合格でした。

続いて、給気・排気の HEPAフィルタをパーティクルカウンター(微粒子計数器)で走査し、0.3μm 粒子の透過率が 0.01%以下であることを確認します。フィルタろ材やフィルタ枠、取付部(シール部)に微小な漏れがあると、そこから未ろ過の空気が抜けて封じ込め性能が損なわれるため、フィルタ面全体を丁寧にスキャンします。実際の検査では、給気フィルタで透過率 0%、排気フィルタで最大 0.002%と、基準の0.01%以下を大きく下回り合格でした。この結果は、フィルタ交換の要否を判断する材料にもなります。

さらに、スモークチューブで発生させた煙を使い、下降層流、前面パネル内側の流入気流、前面開口部の流入気流、可動前面パネル部の気流方向を目視で確認します。数値だけでは分からない「気流が実際にどこへ向かっているか」を可視化し、煙が庫内から漏れ出したり、逆向き(作業者側)に流れたりしないかを検査します。封じ込めが機能していることを、目で見て確認できる重要な項目です。

Ⅲ. 作業環境に関する検査

庫内の清浄度を参考として測定し、清浄な気流が適切に供給されているかを確認します。あわせて、騒音(基準 67dB(A)以下に対し実測 62.6dB(A))、照度(基準 1000lx 以上に対し実測平均 1121lx)を測定し、作業環境として問題がないかを検査します。これら全項目の測定値と判定を、報告書として記録に残します。

安全キャビネット 点検・検査・除染の依頼の流れ【5ステップ】

お問い合わせ・ヒアリング

機種・クラス・タイプ・台数・設置場所・扱う物質などをお伺いします。

お見積り・日程調整

検査内容と費用、報告書のご提出時期をあわせてご提示します。稼働に影響の少ない時間帯や、複数台の一括対応もご相談いただけます。

点検・性能検査

JIS K3800に基づき、校正済みの測定機器で検査します。

報告書のご提出・ご提案

全項目の判定を記載した検査報告書をお渡しし、フィルター交換が必要な場合はお見積りとあわせてご提案します。

(必要時)
除染・フィルター交換・交換後の性能確認

除染(滅菌)を行ったうえでフィルターを交換し、交換後に改めて性能を確認します。

「点検だけ」「除染だけ」「フィルター交換だけ」
といった部分的なご依頼も承ります。

点検・検査の流れを相談する

安全キャビネット点検・検査の費用の目安

費用は、1 台あたりの点検・性能検査の内容、除染や HEPAフィルター交換の有無、台数、出張範囲などによって変わります。校正証明書・検査報告書付きでご提示し、複数台のご依頼はまとめてお見積りすることで、1 台あたりの費用を抑えられる場合があります。定期点検を継続的にご契約いただくことで、点検漏れの防止と計画的な予算化にもつながります。

検査報告書に記載される内容(サンプル)

ラボテックの検査報告書には、検査機種・型式・製造番号・設置場所に始まり、検査結果要約(全項目の判定一覧)、項目別の検査結果(測定方法・判定基準・測定値・使用測定器)、総合判定・所感までを収録します。判定は「合格」などで一目で分かり、測定値まで記載されるため、監査対応や設備管理の記録、次回点検時の比較資料としてご活用いただけます。実際の報告書では、気流検査によって無菌室と隣室間の陰圧が良好に保たれていることの確認など、施設全体の観点からの所感も記載しています。

ラボテックが選ばれる4つの理由

安全キャビネットの点検・検査を依頼できる業者は数多くありますが、ラボテックは次の4つの点で多くの施設に選ばれています。単に基準を満たすかどうかを確認するだけでなく、測定値を根拠として報告書に残し、除染やフィルター交換まで含めて、施設の安全と法令遵守をトータルで支えます。

  1. JIS K3800準拠の全項目検査

    絶縁抵抗・動作・吹出/前面流入風速・排気風量・HEPAフィルタ走査・清浄度・気流方向・騒音・照度・設備電力まで、JIS K3800に基づく全項目を、校正済みの測定機器(パーティクルカウンター、風速計、騒音計、照度計ほか)で検査します。病院・無菌室での検査実績(クラスⅡA2 型・総合判定合格)が、その精度と信頼性の裏付けです。

  2. 従業員の安全を「記録」で支える

    検査報告書には、全項目の測定値と判定基準を並べて記載します。「前面流入風速が基準を満たしている」「HEPAフィルタに漏れがない」という事実を数値で残すことで、そこで作業する従業員に対して、設備の安全性を客観的に説明できます。次回点検時期のご案内などで、点検漏れも防ぎます。

  3. 除染〜点検〜フィルター交換をワンストップ・短工期

    除染・点検・HEPAフィルター交換を別々の業者に発注すると、日程調整の手間も、設備の停止時間も増えてしまいます。ラボテックはこれらを一連で対応。複数台もまとめて短期間で対応し、設備の停止時間を最小限に抑えます。

  4. フィルターの滅菌・除染に自社対応

    HEPAフィルタの滅菌処理に自社で対応できるため、除染からフィルター交換、交換後の性能確認までを切れ目なく進められます。汚染されたフィルタを未処理のまま扱うリスクを避け、安全に作業を完了できます。

安全キャビネットの点検・検査の無料相談バナー

安全キャビネットのクラス(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)と
タイプ(A1〜B2)の違い

安全キャビネットは、封じ込めの仕組みと保護対象によってクラスⅠ・Ⅱ・Ⅲに分類されます。数字が大きいほど封じ込めレベルが高くなり、扱える危険度も上がります。まずはクラスごとの違いを一覧で確認しましょう。

クラスⅠ/クラスⅡ/クラスⅢの違い

クラス主な保護対象無菌操作封じ込めレベル / 主な用途
クラスⅠ作業者・環境不可外気が庫内へ流入するため試料は保護不可。
高リスク作業の封じ込め(近年は使用少)
クラスⅡ作業者・試料・環境可能3つを同時に保護できる汎用型。
微生物・細胞・抗がん剤など。最も普及
クラスⅢ作業者・試料・環境(完全密閉)可能グローブボックス型で完全密閉。
最高度の封じ込め(BSL-4等)
スクロールコメント

クラスⅠは、前面開口から外気を吸い込み、庫内の空気を HEPAフィルタで清浄化して排気する最もシンプルな構造です。作業者と環境は守れますが、外気が庫内に流れ込むため試料(検体)は保護できず、無菌操作には向きません。クラスⅡは、天井の HEPAフィルタから清浄な下降層流を供給することで、作業者・試料・環境の 3 つを同時に保護できる汎用型です。無菌操作が可能で、医療・研究の現場で最も広く使われています。クラスⅢは、グローブを介して作業するグローブボックス型の完全密閉構造で、最高レベルの封じ込めが必要な場面(BSL-4 に相当する高危険度の病原体など)で用いられます。一般的な微生物実験(BSL-2)ではクラスⅡが標準的な選択肢となります。

クラスⅡのタイプ(A1・A2・B1・B2)の違い

最も普及するクラスⅡは、前面流入風速や、排気の循環/全排気の比率によって、さらに A1・A2・B1・B2 の 4 タイプに分かれます。扱う物質が微生物のみか、揮発性の化学物質や放射性物質を伴うかによって選定します。

クラスとタイプの違い
安全キャビネットのクラスⅠ・Ⅱ・Ⅲとタイプの違い
タイプ前面流入風速排気・循環主な対応
A10.4m/s以上約70%循環微量の有害物質
A20.5m/s以上約70%循環汎用(最も普及)
B10.5m/s以上約 50%排気揮発性・ガス状物質にも一定対応
B20.5m/s以上全排気(循環0%)有機溶剤・放射性物質など
スクロールコメント

循環型(A1・A2)は、庫内の空気の約70%をHEPAフィルタで清浄化して再循環させ、残りを排気します。揮発性の化学物質を扱う場合は、循環によって庫内に有害ガスがこもるおそれがあるため、排気比率の高いB1や、全量を屋外へ排気するB2を選びます。ラボテックが病院の無菌室で検査した機種はクラスⅡA2型(NSE-1200ⅡA2、前面開口部高さ250mm)で、前面流入風速の実測値は0.562m/s(A2の基準である0.5m/s以上)を満たし、合格でした。

BSL(バイオセーフティレベル)と安全キャビネットの選定

安全キャビネットのクラス選定は、扱う微生物の危険度を示す BSL(バイオセーフティレベル、BSL-1〜4)と対応させて考えます。BSL-1 は通常、安全キャビネットを必須としませんが、エアロゾルが発生する操作では推奨されます。BSL-2・BSL-3 の実験では、一般にクラスⅡの安全キャビネットが用いられます。最も危険度の高い BSL-4 では、クラスⅢ、または陽圧防護服との組み合わせが必要です。自施設で扱う病原体・検体の BSL を確認したうえで、適切なクラス・タイプを選定することが、安全確保の第一歩です。

安全キャビネットとクリーンベンチ・ドラフトチャンバーの違い

機器主な目的・保護対象気流主な用途
安全キャビネットバイオハザード封じ込め(作業者・試料・環境)陰圧病原体・細胞・抗がん剤
クリーンベンチ試料の清浄保持(作業者は守れない)陽圧無菌操作・精密作業
ドラフトチャンバー有害ガス・薬品の排気排気化学・有機溶剤
スクロールコメント

クリーンベンチとの違い
(陽圧 vs 陰圧・保護対象)

クリーンベンチは、試料を清浄に保つために庫内を「陽圧」にし、清浄な空気を作業者側へ吹き出す装置です。試料は守れても、庫内の空気が作業者側に流れ出るため、作業者は守れません。したがって、病原体・感染性検体・抗がん剤など、人体に有害なものを扱う場合にクリーンベンチを使うのは誤りで、陰圧の安全キャビネットが必要です。逆に、無菌操作だけが目的で危険な微生物を扱わない場合は、クリーンベンチが適します。外観が似ていても目的が正反対である点に注意し、扱う対象で使い分けましょう。

ドラフトチャンバーとの違い
(化学 vs 生物)

ドラフトチャンバー(ヒュームフード)は、有害なガスや薬品(化学物質)を排気して作業者を守るための装置で、生物学的な封じ込めや HEPAフィルタによる微生物の除去を目的とはしていません。したがって、感染性の微生物にはドラフトチャンバーではなく安全キャビネットを使います。一方で、有機溶剤や放射性物質など、揮発性の化学物質を伴う生物実験では、化学物質の排気にも対応できるクラスⅡB2 型(全排気型)などが選択肢になります。

クリーンベンチ・ドラフトとの違い
安全キャビネット・クリーンベンチ・ドラフトチャンバーの気流と保護対
 象の違い

安全キャビネットの正しい使い方・殺菌灯(UV)・清掃・火気の注意

安全キャビネットの封じ込め性能は、正しい使い方をしてはじめて発揮されます。どれだけ高性能な機種でも、使い方や設置環境が不適切だと気流が乱れ、作業者や試料を守れません。ここでは、使用手順と、殺菌灯(UV)・清掃・火気に関する注意点を解説します。

使用手順と作業・設置上の注意点

基本の使用手順は、①電源を入れ、気流が安定するまで数分間運転する②作業に必要な物品だけを庫内に配置する③手前から奥へ向かって作業し、汚染物は奥側で扱う④作業終了後は清掃・除染を行う、という流れです。作業中は、前面開口部を書類や手・物品で塞がない、急な動作で気流を乱さない、庫内で不要な物を動かさない、といった点に注意します。設置面では、周囲に30〜35cm 程度の余裕を確保し、出入口のドアや空調の吹き出し、人の往来など、前面の気流を乱す要因の近くを避けて設置することが重要です。これらは前面流入風速に直接影響し、封じ込め性能を左右します。

殺菌灯(UV)の使い方と注意点

多くの安全キャビネットには、庫内表面の除染を補助する紫外線殺菌灯(UV ランプ)が備えられています。UVは作業の前後に一定時間照射して庫内表面の微生物を低減する目的で使いますが、あくまで補助的な手段です。紫外線は影になる部分や有機物(付着した培地・血液など)の下には届かず、汚れがあると効果が大きく減衰するため、UV照射の前に消毒剤での清拭を行うことが前提です。また、UVは人体(皮膚・眼)に有害なため、点灯中は前面シャッターを閉じ、人がいる場所では照射しないよう注意します。ランプは経時的に出力が低下するため、定期的な交換も必要です。照射時間はメーカーの指示に従ってください。

安全キャビネットの清掃・拭き方

作業の前後には、作業面・側面・前面ガラスの内側などを、対象微生物に有効な消毒剤(消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウム等)で清拭します。拭き方は、清浄な奥側から手前へ、上から下へと一方向に拭くのが基本です。試薬や検体をこぼした場合は、速やかに除染してから拭き取ります。清掃時も安全キャビネットは運転したまま行い、庫内の排水受け(トレー)やグリル部の清掃も定期的に実施します。消毒用エタノールを使用する際は、火気に十分注意してください。

安全キャビネット内でガスバーナー(火気)は使える?

安全キャビネット内でのガスバーナーなど火気(裸火)の使用は、原則として避けるべきとされています。炎による上昇気流が庫内の下降層流(ダウンフロー)を乱して封じ込め性能を低下させるうえ、熱によって天井の HEPAフィルタを傷めるおそれがあるためです。さらに、庫内で消毒用エタノールを使用する環境では引火の危険もあります。白金耳などの滅菌には、ガスバーナーの代わりに、電気式のマイクロインシネレーター(電気滅菌器)やディスポーザブルの滅菌済みループを使用するのが安全です。

除染・HEPAフィルター交換・移設・廃棄の正しい流れ

除染・点検・フィルター交換は、順序を誤ると作業者や環境を汚染するおそれがあります。ラボテックでは、次の流れで安全に作業を進めます。

【フィルター交換までの標準的な流れ】
定期点検・性能検査

まず現状の封じ込め性能を測定します。特に風速の低下やHEPAフィルタの透過率が、交換要否の判断材料になります。

交換要否の判断・お見積り

測定結果をもとに、フィルター交換が必要かをご説明し、お見積りをご提示します。

除染(滅菌)

フィルターを取り外す前に、装置内およびフィルタに付着した微生物を無害化します。汚染されたまま作業すると、作業者や環境が病原体に曝露するおそれがあるため、この工程を飛ばすことはできません。

HEPAフィルター交換

除染後に、給気・排気フィルタを交換します。

交換後の性能確認検査

フィルター交換によって気流バランスが変わるため、交換後に改めて風速・HEPAフィルタ走査・気流方向を測定し、封じ込め性能が回復していることを確認します。

除染・フィルター交換の流れ
点検から除染・フィルター交換・性能確認までの 5 ステップ

HEPAフィルターの交換時期の目安

HEPAフィルターの交換時期は、「何年ごと」と一律に決まっているわけではなく、使用頻度・使用環境・目詰まりの進行度によって変わります。目安となるのは、定期点検での風速の低下や、フィルタ前後の圧力損失の増加です。ダウンフロー・インフローの風速が基準を下回るようになったら、フィルタの目詰まりが進んでいるサインです。定期点検で測定値を継続的に記録しておくことで、交換の適切なタイミングを予測でき、突然の性能低下や急な停止を防げます。

移設・廃棄時の注意(除染の重要性)

安全キャビネットを移設・廃棄する際も、必ず事前に庫内・フィルタの除染(滅菌)を行います。汚染されたフィルタを未処理のまま取り外す・運ぶことは、作業者や運搬経路を汚染するリスクがあるためです。また、移設後は、輸送や据付によって気流バランスが変わるため、設置場所で改めて性能確認検査を行い、前面流入風速や HEPAフィルタの漏れがないかを確認する必要があります。移設・据付・除染・点検を一括で依頼できると、安全でスムーズです。

安全キャビネットに関するよくある質問(FAQ)

安全キャビネットとクリーンベンチの違いは?

安全キャビネットは庫内を陰圧にして作業者・試料・環境の 3 つを守るのに対し、クリーンベンチは陽圧で試料のみを守り、作業者は守れません。病原体や抗がん剤の取り扱いには安全キャビネットが必要です。

クラス・タイプはどう選べばよいですか?

扱う微生物の BSL と、揮発性化学物質・抗がん剤を伴うかで選びます。汎用ではクラスⅡA2 型が一般的で、揮発性物質を扱う場合は B2 型などを選びます。

定期点検は義務ですか?頻度は?

JIS K3800で年1回(腐食性物質を扱う場合は年2回)の定期点検が求められます。医療施設では関連規則でも点検・記録が必要とされています。

点検では何を検査しますか?

前面流入風速・吹出風速・排気風量、HEPAフィルタ走査、気流方向(スモーク可視化)、清浄度、騒音、照度、絶縁抵抗、動作、設備電力など、JIS K3800に基づく項目を検査します。

点検を受けると、従業員の安全をどう説明できますか?

検査報告書に全項目の測定値と判定基準が記載されるため、「封じ込め性能が基準を満たしている」ことを客観的な数値として施設内で共有・説明できます。

HEPAフィルターの交換時期の目安は?

一律の年数ではなく、風速の低下や圧力損失の増加で判断します。定期点検の測定値を記録しておくと、交換時期を予測できます。

除染は必要ですか?

フィルター交換・移設・廃棄の前には、庫内・フィルタの除染(滅菌)が必要です。ラボテックで対応します。

除染・点検・フィルター交換はどの順番で行いますか?

まず点検・性能検査で現状を測定し、交換の要否を判断します。交換する場合は、除染(滅菌)→フィルター交換→交換後の性能確認検査、という順序で進めます。

殺菌灯(UV)だけで消毒は十分ですか?

UVは補助的な手段です。影や有機物の下には届かないため、消毒剤による清拭が基本で、UVはその補助として使用します。

庫内でガスバーナーは使えますか?

火気は気流を乱しHEPAフィルタを傷めるおそれがあるため推奨されません。電気式の滅菌器やディスポーザブルのループの使用をおすすめします。

抗がん剤の調製に使えますか?

抗がん剤(危険薬)の調製には陰圧の安全キャビネット(一般にクラスⅡ、揮発性を伴う場合は B2型など)を用います。CSTDの併用など曝露対策と組み合わせます。

BSL-2ではどのクラスが必要ですか?

BSL-2・BSL-3の実験では一般にクラスⅡの安全キャビネットが用いられます。BSL-4ではクラスⅢ等が必要です。

移設したいのですが対応できますか?

移設前の除染と、移設後の性能確認検査を含めて対応できます。据付で気流が変わるため、移設後の検査は必須です。

稼働を止めずに点検できますか?

検査は運転状態で行いますが、作業の中断が必要な場合があります。日程はご相談ください。

報告書・校正証明書はもらえますか?

はい。全項目の測定値と判定を記載した検査報告書をご提出します。

費用はどれくらいですか?

台数・検査内容・除染やフィルター交換の有無・出張範囲で変わります。無料でお見積りしますのでご相談ください。

従業員を守る封じ込め性能を、点検・検査・除染で維持する

安全キャビネットは、クラス(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)やタイプ(A1〜B2)の正しい選定と、正しい使い方(気流を乱さない運用・適切な清掃・UVや火気の注意)に加え、JIS K3800で年 1 回の定期点検が求められる設備です。前面流入風速や HEPAフィルタの漏れ、気流方向といった封じ込め性能は目視では分からず、専門的な測定でしか確認できません。そしてその性能は、毎日その前に立つ従業員の安全に直結します。

ラボテックは、JIS K3800準拠の全項目検査と、病院・無菌室での検査実績、除染〜点検〜フィルター交換のワンストップ対応で、御社の安全キャビネットの“性能の証明”と従業員の安全確保をサポートします。まずはお気軽に、無料でご相談ください。

「点検だけ」「除染だけ」
「フィルター交換だけ」も歓迎です

安全キャビネットの点検・検査を
無料で相談する

安全キャビネットの点検・検査・除染の
無料お見積り・ご相談

「点検だけ」「除染だけ」「フィルター交換だけ」のご相談も歓迎です。安全キャビネットの性能検査・除染・フィルター交換は、病院での検査実績を持つラボテックにお任せください。

お電話:082-921-5531 / FAX:082-921-5532 (ラボテック株式会社)

関連するサービス・製品

お問い合わせ

フォームが表示されるまでしばらくお待ち下さい。

恐れ入りますが、しばらくお待ちいただいてもフォームが表示されない場合は、こちらまでお問い合わせください。

Contactお問い合わせ

自動分析装置や環境分析、その他の内容についても
お気軽にお問い合わせください。