アスベストの事前調査の流れとは?不要・対象外の場合など解説

アスベストの事前調査の流れとは?不要・対象外の場合など解説

アスベスト事前調査

 

「アスベストの事前調査って必要なの?」「アスベスト事前調査の流れとは?」

解体やリノベーション工事を予定している方にとって、「アスベスト事前調査」の必要性は非常に重要です。アスベスト(石綿)は、吸い込むことで健康被害を引き起こすおそれがあるため、法律で調査と報告が義務付けられています。

ただし、すべての建物が調査対象になるわけではありません。一部の工事や構造によっては、アスベスト事前調査が不要となるケースもあります。

内容は【石綿ばく露防止・飛散漏えい防止対策徹底マニュアル】をもとに構成しました。正しい知識で安全な工事を進めるために、調査の必要性を把握しましょう。

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そもそもアスベストの事前調査とは何?わかりやすく解説

アスベストの事前調査とは、建築物や工作物の解体・改修工事を行う前に、その建材にアスベスト(石綿)が含まれているかどうかを確認するための調査です。

2006年以前に建てられた建物にはアスベスト含有建材が使用されている可能性があり、飛散による健康被害を防ぐために、法令により事前調査が義務化されています。

調査は、図面や仕様書の確認(書類調査)、現地での目視確認(現地調査)、必要に応じて試料採取と分析までを含む一連の手続きです。調査結果は、石綿事前調査結果報告システムを通じて所轄の労働基準監督署などに提出します。

2022年の法改正により、報告は電子システムでの提出が義務化され、2023年10月からは有資格者による調査実施が必須となりました。違反した場合、罰則や工事の中止命令の対象になるため、厳密な対応が求められます。

アスベスト事前調査は、労働者・住民の健康を守るための第一歩であり、法令順守と安全施工を両立するうえで欠かせないプロセスです。まずは、信頼できる調査機関に相談し、早めに対応を始めましょう。

アスベストの事前調査が不要・対象外工事な場合

事に必要というわけではありません。実際には、作業内容や建材の種類、建物の築年数などの条件によって、アスベスト事前調査が不要となるケースがあります。

この見出しでは、厚生労働省のマニュアルに基づき、アスベスト事前調査が不要とされる具体的なケースについてわかりやすく解説します。該当する場合でも、誤った判断による違反リスクを避けるため、内容を正しく理解しておくことが重要です。

調査が不要な場合とはいえ、作業にあたっては専門知識のある担当者による判断や、行政への確認が推奨される場面もあります。以下、不要となる代表的な4つのケースを詳しく見ていきましょう。

1. 明らかにアスベストを含まない素材のみの作業の場合

アスベスト事前調査が不要とされる最も基本的なケースが、対象となる建材がアスベストを含まないと明確に判断できる場合です。以下のような素材が対象となります。

  • 木材・金属・石材・ガラスなど、アスベストが使用されない構造材料
  • 畳、電球など、過去の製品歴からも石綿非含有が明らかな物
  • 上記の素材のみで構成され、周囲のアスベスト建材を損傷させる恐れのない作業

上記の条件がすべて整っていれば、アスベスト飛散リスクはほぼゼロとみなされ、事前調査を省略できます。ただし、「見た目で判断できる」と思い込むのは危険であり、型番や製造時期の確認、専門家や資格を保有している方の目視判定が推奨されます。

2. 材料をほとんど損傷しない軽微な作業、飛散リスクが低い作業の場合

建材を損傷させるおそれが極めて低く、アスベストの飛散リスクがほとんどない作業も、アスベスト事前調査が不要となるケースに該当します。以下のような作業が代表的です。

  • 釘を打ち込む、または釘を抜くといった表層的な作業
  • 手工具による極軽度の固定・取り外し作業

これらは建材に与える影響が極めて小さく、仮にアスベスト含有の可能性があったとしても飛散のおそれがないと判断されます。ただし、電動工具による穴あけや切断は微細な粉じんを発生させるため、必ず事前調査の対象となる点に注意が必要です。

3. 既存建材の除去を伴わない新規施工のみの場合

既存の塗装や内装材を剥がさず、その上から新たに塗装や仕上げ材を追加するだけの施工は、アスベストの飛散リスクが生じないとされ、事前調査が不要となる場合があります。

  • 既存壁の上に直接塗装を施す
  • 既存仕上げ材の上からフローリングやパネルを重ね張りする

このように、「触れずに覆うだけ」の施工は、対象建材に手を加えないため、アスベストの飛散につながらないと判断されます。ただし、軽度でも既存建材の削りや剥がしが伴う場合は、調査対象となるため注意が必要です。

4. 平成18年(2006年)9月1日以降に着工された建築物などの場合

平成18年(2006年)9月1日以降に着工された建築物は、アスベストに関する規制が厳格化されたため、事前調査が不要な場合があります。この規制は、アスベストを含む建材の使用を法律で禁止することで、建築物の安全性を高める目的で導入されました。そのため、2006年9月1日以降に着工された建築物は、アスベストに関するリスクが極めて低いとされています。

ただし、例外的に海外製品や保管在庫の建材が使われているケースもゼロではなく、着工日だけで一律に「不要」と断定するのは危険です。そのため、建築確認日・設計図面・仕様書などによる確認や、専門業者や資格を保有している方への相談を行い、リスクを確実に排除する必要があります。

アスベスト事前調査の5つの流れを解説

アスベスト事前調査は、解体・改修工事に先立ち、建材に石綿(アスベスト)が含まれているかを確認する法定手続きです。2022年4月以降は、労働基準監督署への報告が義務化され、さらに2023年10月からは有資格者による調査が必須となりました。ここでは、事前調査の流れを5つのステップに分けてわかりやすく解説します。

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アスベスト調査

1. 書類調査|設計図書・竣工図書から使用建材を精査

アスベスト事前調査は、まず書類調査から始まります。対象となる建物の設計図書や竣工図、施工記録などを収集・確認し、アスベストが使用されている可能性のある箇所をピックアップします。

建築年が2006年(平成18年)9月1日以前であるかも重要なポイントです。なぜなら、この日を境にアスベスト含有建材の使用が禁止されたためです。

この段階で過去の分析結果が存在する場合もありますが、調査義務そのものが免除されるわけではありません。当時「非含有」とされた材料が、現在の基準では「含有」と見なされる可能性もあるため、過去の結果を鵜呑みにせず慎重な判断が求められます。

2. 現地調査|建材の目視確認と写真記録の取得

書類調査に続いて行うのが、現地での目視確認です。調査者が現場を訪れ、全ての建材を目視で確認します。この工程では、写真撮影による調査実施状況の記録も義務です。確認対象は、壁・天井・床材・外壁・保温材・屋根材など多岐にわたり、肉眼でアスベストの使用が疑われる箇所を徹底的に洗い出します。

アスベスト事前調査は、アスベストの有無に関わらずすべての建材が対象です。そのため、明らかに非含有と判断できる建材も含め、全ての情報を記録に残す必要があります。目視だけで判断が困難な場合は、次のステップで試料を採取して分析に回すか、「みなし含有」として処理するかの判断を行います。

3. 試料採取・一次判定|みなし含有か分析調査へ進む判断

目視調査では判定できなかった建材については、試料採取(サンプリング)を行います。これにより、分析調査へ進む対象を確定します。または、判断が困難な建材を「みなし含有」として処理し、飛散防止措置を前提とした工事計画を立てる選択肢もあります。

試料採取は、石綿が飛散しないよう事前に湿潤処理を施すなど、厳格な安全管理下で行います。採取部位に応じて、以下のような分量・注意点が必要です。

  • 吹付材・保温材:ゴルフボール2個分程度
  • 仕上塗材・外壁:5cm×5cm、接着層まで含める
  • 成形板:Pタイルや石膏ボードは接着剤も含めて採取

この段階での判断が、工事の安全性・費用・スケジュールに大きな影響を与えるため、専門調査者の経験と知見が重要になります。

4. 建材分析|定性・定量分析によるアスベスト検出

採取された建材は、専門分析機関でアスベストの有無と含有率を調査します。代表的な分析方法には以下の2つがあります。

  • 定性分析:アスベストが含まれているかどうかを調べる
  • 定量分析:含まれていた場合、アスベストの含有率を数値で確認

弊社では、偏光顕微鏡法・X線回折法などの精度の高い方法を採用し、すべての分析検体に対し、断面写真・含有層の位置情報を添付した報告書を作成しています。6種すべてのアスベスト繊維種に対応可能で、法令に準拠した正確なデータ提供が可能です。

5. 報告書作成・行政報告|電子報告システムでの届け出

アスベスト事前調査の最終手順は、調査結果の報告書作成と行政への届け出です。報告書には、全ての建材に対する調査結果とその根拠、写真資料を含めて記載します。2022年4月以降は、「石綿事前調査結果報告システム」を通じた電子申請が義務化されており、スマートフォンからの提出も可能です。

また、報告書の写しは現場に常備し、概要を掲示する必要があります。これにより、工事関係者全員がアスベストの有無を把握でき、適切な安全措置を講じることが可能になります。提出期限は工事開始の14日前までが原則ですので、調査と提出スケジュールを余裕を持って組む必要があります。

アスベスト事前調査の重要性を3つの観点から解説

アスベスト事前調査は、単なる事前確認にとどまらず、労働者・住民の健康リスクを回避するための重要な義務です。法改正により規制は年々厳格化されており、調査を怠れば重大な罰則や工事中止のリスクも生じます。

以下で、その重要性を3つの観点からわかりやすく解説します。

法令により義務化|違反すれば罰則・工事停止のリスクも

アスベスト事前調査は、「大気汚染防止法」および「石綿障害予防規則」によって明確に法令で義務付けられている調査です。

特に2022年4月以降、すべての調査結果は労働基準監督署へ電子報告が必要となり、2023年10月からは有資格者による実施が必須とされました。

違反すると、最大で50万円以下の罰金や工事停止命令の対象になります。

また、調査を怠ったまま工事を進めてしまうと、アスベスト飛散による近隣住民や従業員の健康被害が発生する可能性があり、企業の社会的信用を大きく損なうリスクもあります。適切な事前調査は、企業責任の回避と法令順守の基本と言えるでしょう。

健康被害の未然防止|労働者と住民の安全を守る

アスベストは、長期にわたり人体に蓄積し、中皮腫・肺がん・アスベスト肺などの重篤な疾病を引き起こす極めて危険な物質です。特に粉じんとなって吸入された場合、発症まで10〜40年と長い潜伏期間があるのが特徴です。

工事に関わる作業員はもちろん、近隣住民にも影響を与える可能性があるため、事前調査による飛散リスクの評価と対策が非常に重要です。

アスベストを含む建材が判明していれば、飛散防止措置や個人防護具の着用、除去作業の手順確立など、安全管理を事前に講じることができます。

調査は単なる行政手続きではなく、命を守るためのリスク管理の手法です。

正しい調査はコスト抑制にも直結する

アスベスト事前調査は、費用対効果の観点からも重要です。調査によってアスベスト含有の有無や範囲を明確にすることで、無駄な工事費用や過剰な飛散防止措置を避けることができます。

例えば、「みなし含有」で工事を進めると、本来必要のないアスベスト除去作業や処理費用が発生する可能性があります。一方、適切に分析を行えば、実際には非含有であると判明し、高額な処理コストを回避できるケースも少なくありません。

また、調査報告書は自治体や発注者からの信用確保の材料にもなるため、公共工事や大型案件では特に重要視されます。調査の質を高めることが、安全・信頼・コスト最適化すべてに寄与します。

アスベストの事前調査をしないと起こるリスク

アスベストの事前調査は、法律で義務づけられているだけでなく、健康被害や法的リスクを防ぐための重要な手続きです。この調査を怠ると、工事の中断・行政処分・罰則・企業イメージの毀損など、深刻なトラブルに発展する可能性があります。
この見出しでは、アスベストの事前調査を実施しなかった場合に起こり得る具体的なリスクについて解説します。

法令違反による罰則・刑事責任の可能性

アスベストの事前調査を行わずに解体や改修工事を実施した場合、大気汚染防止法違反となり、罰則の対象になります

調査を実施しなかったり、虚偽の報告をした場合には、30万円以下の罰金が科されることがあります(大気汚染防止法第35条など)。さらに、法人に対しても両罰規定が適用されるため、企業全体が責任を問われるリスクがあります。
また、石綿障害予防規則などの関連法令にも違反する可能性があるため、調査の実施とその正確性は非常に重要です。「知らなかった」では済まされない法的責任が問われる場面も多く、建築関係者や発注者には慎重な対応が求められます。

行政指導や工事停止命令などの業務上の影響

アスベストの事前調査を怠ると、行政からの是正指導や改善命令が出されることがあります。特に、報告義務を果たさなかった場合や、調査結果に不備があった場合は、工事の一時中止を命じられるケースもあります。工期の遅れや作業員の再手配など、プロジェクト全体に大きな支障をもたらす原因となりかねません。
また、労働基準監督署や自治体に調査結果を提出しないまま作業を始めた場合、調査のやり直しが求められるケースもあります。これにより、調査費用の二重発生や施工スケジュールの再編が必要になるなど、事業者にとって大きな損失となる可能性があります。

周辺住民や顧客との信頼関係の損失

アスベストの飛散が発生した場合、周辺住民とのトラブルや企業イメージの失墜といった社会的リスクも無視できません。石綿は微細な繊維が空気中に拡散しやすく、少量でも吸引により健康被害(中皮腫・肺がん等)を引き起こす可能性がある有害物質です。
調査を怠ったまま工事を実施し、万が一飛散が発覚すれば、近隣住民からの訴訟やクレーム対応に発展することも考えられます。
さらに、こうした対応がメディアに取り上げられることで、企業の信頼性やコンプライアンス意識に疑念が生じ、今後の受注・取引機会にも悪影響を与えるでしょう。法令遵守と社会的責任を果たす意味でも、事前調査の実施は欠かせません。

まとめ:アスベスト事前調査は安全・法令遵守のために非常に大切

アスベスト事前調査は*建物の安全性を確保し、労働者や周辺住民の健康被害を防ぐための“第一歩”です。2022年・2023年の法改正により、調査の義務化・報告の電子化・有資格者の関与などが強化されており、適切な手順を守らないまま工事を進めれば、法令違反・工事中断・企業イメージの失墜といったリスクに直結します。
調査の流れは「書類確認 → 現地目視 → 必要に応じた分析 → 報告書作成」が基本ですが、対象建材や建築年、工事規模に応じて対応が異なるため、専門知識と実績を持つ調査機関に依頼することが確実です。

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