【要注意】モルタルのアスベスト除去方法と種類別リスクを徹底解説

【要注意】モルタルのアスベスト除去方法と種類別リスクを徹底解説

「モルタルにはアスベストが含まれている可能性がある」と聞いて、不安に思った方も多いのではないでしょうか?


アスベスト(石綿)は、かつてモルタルの混和材や仕上げ材に使用されていた時期があり、特に古い建物では含有の可能性が指摘されています。解体やリフォームの際にアスベストを見落とすと、飛散による健康被害や法令違反につながるリスクもあります。


この記事では、「モルタルにアスベストが含まれる可能性」「どんな種類のモルタルが対象か」「使用されていた背景や用途」などを、専門的な観点からわかりやすく解説します。


工事を計画している方、建物管理者、施工業者の方はぜひ最後までご覧ください。

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モルタルにアスベストが含まれる可能性は?

かつて建築現場で多用されていたモルタルは、その構成や添加物によってはアスベスト(石綿)を含む可能性がある建材のひとつです。特に、昭和時代の建物や、耐火性能が重視された工事では、アスベスト入りのモルタルが使用されていたケースも少なくありません。


現在ではアスベストの使用は法律で禁止されていますが、過去に施工された建築物では注意が必要です。この見出しでは、モルタルの基礎知識やアスベストとの関係性についてわかりやすく解説します。

モルタルとは?基本と構成要素

モルタルとは、セメント・砂(細骨材)・水を混ぜて作られる建築材料で、左官作業や仕上げ材として幅広く使われています。粘着性が高く、凹凸のある下地にもよくなじむため、タイル貼りの接着材や壁の下地、外壁の仕上げなどに用いられます。


モルタルは基本的に以下のような材料で構成されます。


  • セメント(主結合材)
  • 砂(骨材)
  • 水(化学反応と可塑性の付与)
  • 添加剤・混和材(作業性や性能を調整)

このうち、「添加剤・混和材」としてアスベストが使用されていた可能性があります。

モルタルとセメント・コンクリートの違い

モルタルと似た建材にセメントコンクリートがありますが、これらは構成要素と用途に違いがあります。

建材名

構成

主な用途

セメント

単体では粉状の結合材

モルタル・コンクリートの主成分

モルタル

セメント+砂+水

外壁仕上げ、タイルの接着など

コンクリート

セメント+砂+砂利(粗骨材)+水

建物の構造材(柱・床・基礎など)

モルタルは砂利を含まず軽量で加工しやすいため、構造材ではなく仕上げや補修材として使われる点が大きな特徴です。

モルタルが使われる代表的な場所・用途

モルタルはその施工性の高さから、建物の内外問わずさまざまな場所で使われています。代表的な使用例は以下の通りです。

  • 外壁や内壁の仕上げ(塗り壁材)
  • タイルや石材の接着材
  • 屋根瓦の固定・目地埋め
  • ブロック積みの接着剤
  • 土間・床の下地材
  • 耐火・断熱を目的とした耐火被覆材(特に注意)

特に注意が必要なのが、「耐火モルタル」として使用された箇所や、昭和40〜50年代のビル・公共施設・工場などです。この時期は建築基準法の耐火要件を満たすために、アスベストが混和材として添加されていた可能性があります。

モルタル混和材にアスベストが使われていた背景

モルタルの性能を高めるために添加される混和材(添加剤)には、作業性や強度、耐火性を向上させる目的があります。かつてその混和材としてアスベスト(石綿)が広く使用されていたのです。


アスベストが使われていた主な理由は次のとおりです。


  • 耐熱性に優れ、火災対策として効果的だった
  • 繊維状で均一に混ざりやすく、ひび割れ抑制に貢献
  • 価格が安く、建築現場で使いやすかった

特に耐火モルタル・煙突周辺・配管被覆・機械室など、高温にさらされる場所に使用されたモルタルは、アスベスト含有のリスクが高いと考えられます。


現在ではアスベスト使用は法律で禁止されており、モルタルの製造にも使われていませんが、古い建物の改修や解体では必ず事前調査を行うべきです。

モルタルの種類別|アスベスト含有リスク

一口に「モルタル」といっても、用途や性能に応じてさまざまな種類があります。ここでは、代表的な6つのモルタルタイプについて、そのアスベスト含有リスクを中心に解説します。

セメントモルタル|リスクは比較的低め

セメントモルタルは、セメント・砂・水だけで構成された最も基本的なモルタルです。左官仕上げやレンガ積みなどに使用され、特別な混和材を含まない限り、アスベストが含まれる可能性は低いとされています。

ただし、古い建物で施工された場合や、特殊な性能を付加するために混和材が使用された場合は注意が必要です。

石灰モルタル|古い建物での使用に注意

石灰モルタルは、セメントの代わりに消石灰を使用したもので、伝統的な日本家屋や古い洋風建築で多く使用されていました。施工時期が古いものは、アスベスト添加の可能性が否定できません。

特に1970年代以前の建物では、耐火性や強度を高めるために石綿繊維が混ぜられていた事例も報告されています。

混合モルタル(セメント石灰モルタル)|注意が必要な混合型

混合モルタルは、セメントと石灰を組み合わせたハイブリッド型のモルタルで、作業性と強度のバランスに優れます。

ただし、石灰系のモルタルにアスベストを添加して耐火性を高めた過去の製品も存在します。特に公共施設・学校・ビルで使用された場合は、事前調査が必須です。

ポリマーセメントモルタル|現代ではアスベスト不使用

ポリマーセメントモルタルは、セメントに合成樹脂(ポリマー)を混ぜたモルタルで、防水性や接着性に優れた高性能モルタルです。

このタイプは1990年代以降に開発された比較的新しい建材のため、アスベストが含まれている可能性は極めて低いとされています。

耐火モルタル|最もアスベスト含有のリスクが高い

耐火モルタルは、高温にさらされる部位(ボイラー室、煙突、機械室など)に使用され、耐火・断熱性能が重視されます。

かつては、耐火性能を強化する目的でアスベストが積極的に添加されていました。とくに1970〜1980年代の建築物では、耐火モルタル=アスベスト含有の可能性が非常に高いと認識すべきです。

エポキシモルタル|アスベストのリスクは低いが念のため確認を

エポキシモルタルは、エポキシ樹脂をバインダーにした特殊モルタルで、化学プラントや排水施設の補修材として使用されます。

このタイプは高価なうえ近年の製品が多いため、アスベスト使用の可能性は低いですが、過去の製品に混和されていた事例がゼロではありません。調査対象となる建物の施工年代を必ず確認しましょう。

H2.アスベスト含有モルタルの除去方法の流れ

アスベストが含まれている可能性のあるモルタルは、大気汚染防止法・石綿障害予防規則などにより、厳格なルールに沿った対応が求められます。ここでは、アスベスト調査から除去・処分までの一般的な流れをわかりやすく解説します。

 事前調査とサンプリングの実施

解体・改修前の建物については、すべての建材を対象にアスベストの有無を確認する事前調査が義務付けられています。モルタルのように目視では判断が難しい材料の場合、調査者が試料を採取し、分析機関に送付します。

2023年10月以降は、調査実施者にも資格要件が設けられ、以下のいずれかに該当する必要があります。

  • 一般建築物石綿含有建材調査者
  • 特定建築物石綿含有建材調査者
  • 一戸建て建築物石綿含有建材調査者(限定用途)

アスベストの分析調査(定性・定量)

採取されたモルタルの試料は、JISに準拠した分析方法で、アスベストの有無や含有量が調べられます。

  • 定性分析:アスベストが含まれているかどうかを確認
  • 定量分析:含有している場合、何%含まれているかを測定

吹付材や保温材などと異なり、モルタルは層の中にアスベストが隠れている場合が多いため、層別分析が重要です。

除去作業の実施と飛散防止対策

アスベストが含まれていると判明した場合、飛散防止対策(養生・負圧除じん装置の設置など)を講じたうえで、専門業者による除去作業が行われます。モルタルは外壁や天井などに広範囲に施工されていることがあり、破砕を伴う作業には特に注意が必要です。

作業区分はアスベストのレベルによって異なり、モルタルに含まれるケースは主に「レベル3(成形材等)」として扱われることが多いですが、状態によってはレベル2に該当することもあります。

除去後の処分と届出

除去したアスベスト含有モルタルは、特別管理産業廃棄物として適切に梱包・保管・運搬し、許可を受けた処理施設で処分しなければなりません。

また、一定量を超える除去作業を行う場合には、作業開始前に所轄の労働基準監督署や都道府県知事等への届出が義務付けられています。

H2. モルタルのアスベスト除去にかかる費用目安

モルタルにアスベストが含まれていた場合、その除去には材料の種類・工法・作業条件によって費用が大きく変動します。特にモルタルは「仕上塗材」や「混和材」にアスベストが混入しているケースがあり、外壁などの広範囲施工箇所では費用も高くなりがちです。

ここでは、除去の費用相場や、作業の難易度・飛散レベルによってどのような違いがあるのかを解説します。

 レベル別に見る除去費用の傾向

アスベストの除去費用は、厚生労働省および国土交通省が定める飛散レベル(1〜3)によって大きく異なります。

レベル1(吹付材など)の費用傾向

レベル1は、飛散性が最も高いアスベスト材(例:吹付け石綿)です。除去には完全密閉・負圧装置など高度な飛散防止措置が必要となり、費用は高額になる傾向があります。

レベル2(保温材など)の費用傾向

保温材・断熱材に使われているレベル2のアスベストは、やや飛散しにくいものの、粉じん発生の可能性があるため、依然として厳重な措置が必要です。

レベル3(成形板・モルタルなど)の費用傾向

モルタルが該当することが多いのがレベル3。非飛散性アスベスト建材に分類されますが、除去時に破砕や削り作業を伴う場合には飛散リスクが発生するため、専門業者による対応が必要です。レベル3の中では比較的費用が抑えられるケースもあります。

外壁に施工されたモルタルの除去費用

外壁にアスベスト含有モルタルが使われている場合、除去の難易度が上がる傾向にあります。高所作業や足場の設置が必要となるため、基本費用に加えて仮設費・養生費などが加算されます。

また、塗材や下地処理材の中にアスベストが含まれていることもあるため、層ごとのサンプリング・分析が必須になります。

 一戸建てと大型建築物での費用差

戸建住宅と工場・倉庫などの大型建物では、アスベスト除去費用に明確な差が出ます。

  • 一戸建て住宅:施工面積が限定されているため、1㎡あたりの単価はやや割高になる場合があります。
  • 工場・倉庫・ビルなど:施工面積が広い反面、スケールメリットにより単価が抑えられるケースがあります。ただし、建物の構造や築年数によっては、追加調査や特殊処理が必要となり費用が膨らむ可能性もあります。

このように、モルタルのアスベスト除去費用は、「材質の特性・建物の構造・施工方法」によって変動します。正確な費用を知るためには、専門業者による現地調査と見積もりが必須です。

アスベストを含有したモルタルに関するよくある質問

モルタルにアスベストが使われていたのはいつ頃まで?

アスベストは1960〜1980年代にかけて、モルタルの混和材や下地材として幅広く使用されていました。特に、1975年以前の建物はアスベスト含有のリスクが高いとされています。

厚生労働省などの資料によれば、2006年9月以降の建材にはアスベストが原則使用されていないとされていますが、それ以前の建物では注意が必要です(参照:厚生労働省 石綿対策)。

モルタルのアスベストは「レベル1」や「レベル3」になるの?

アスベストの除去レベルは、飛散性や含有状態によって分類されます。モルタルは成形された状態で使用されることが多く、一般的にはレベル3に該当します。

ただし、タイル下地モルタルや耐火モルタルなど、一部は施工時や解体時に粉じんが飛散しやすい場合もあるため、状況次第ではレベル2と判断されることもあります。調査の上、適切な飛散防止措置が必要です。

モルタルのアスベスト除去方法はどうする?

モルタルにアスベストが含まれていた場合、まずは石綿含有建材調査者などの資格者による事前調査が必要です。

 除去方法としては、レベル3(非飛散性)に該当する場合でも、湿潤化・養生・飛散防止対策が求められます。

外壁モルタルなどの場合は、高所作業や養生範囲が広がるため、費用と安全管理の両面で専門業者への依頼が必須です。 また、アスベストを含むモルタルは産業廃棄物として適切に処分する必要があります。

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モルタルには、混和材や下地材としてアスベストが使用されていた可能性があり、特に1980年代以前の建物では注意が必要です。外壁やタイル下地など、目に見えない部分に含まれていることも多く、事前調査を怠ると法令違反や健康被害のリスクが高まります。

アスベストの有無は目視では判断できず、必ず有資格者による調査と適切な除去が必要です。

「モルタルにアスベストが使われているか心配…」という方は、まず専門機関への相談をおすすめします。安全・法令遵守のためにも、調査から除去まで信頼できる業者に依頼しましょう。

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