土壌汚染対策法についてわかりやすく解説!対象や届出に関しても紹介

土壌汚染対策法についてわかりやすく解説!対象や届出に関しても紹介

土壌汚染対策法わかりやすく

「土壌汚染対策法は難しそう…」「どんな土地に関係あるの?」と疑問をお持ちの方は多いでしょう。

土壌汚染対策法をわかりやすく説明すると、特定有害物質による土壌の汚染調査、及びその汚染による人の健康被害の防止措置等を定めた法です。国民の健康を保護し、安全に暮らすことを目的としています。

この記事では、土壌汚染対策法の仕組みや対象となる土地、必要な手続きや調査の流れをできるだけわかりやすく解説します。最後まで見れば、土壌汚染対策法を理解でき、どのような対処をすれば良いか分かるでしょう。

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土壌汚染対策法の概要をわかりやすく解説

土壌汚染とは、有害物質が地中に浸透・蓄積し、土壌の健全性を損なう環境問題です。重金属類(シアン、カドミウム、ヒ素、六価クロムなど)や、揮発性有機化合物(四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど)といった化学物質が、工場や事業場の活動、廃棄物の不適切な処理などを通じて、地面に漏れ出すことで引き起こされます。

特定有害物質の詳細や土壌溶出量基準は以下の記事を参考にしてください。

土壌汚染調査|水質・大気・土壌・アスベスト調査などの環境分析・自動分析装置なら広島のラボテック株式会社

土壌汚染の問題点は、目に見えないまま長期間にわたって健康被害や環境破壊を引き起こす点にあります。たとえば、汚染された土壌から地下水汚染が発生したり、農作物汚染を通じて人体へ有害物質が取り込まれたりする可能性があるためです。

土壌汚染対策法においても、土壌環境の安全性を確保するため、一定規模以上の土地に対する調査義務や、汚染土壌の処分・除去・封じ込めなどの対策が定められています。

土壌汚染は、健康リスクや不動産価値の低下、周辺住民とのトラブルにもつながるため、早期の把握と正しい理解が重要です。

土壌汚染対策法が必要とされた背景

土壌汚染対策法は、2000年代初頭に急増した土壌汚染の発覚を背景に、国民の健康と安全を守るために制定されました。特に問題となったのは、工場や研究施設などで使用されていた有害物質が、長年の操業を経て土壌中に漏れ出し、再開発時に初めて汚染が判明するケースが相次いだことです。

当時、土壌汚染に関する包括的な法律は存在せず、汚染が発覚しても調査や除去を義務付ける仕組みがなかったため、健康被害への懸念や住民トラブルが社会問題化していました。このトラブル受け、2000年から環境省が有識者による検討会を立ち上げ、制度のあり方について議論が開始されました。その後、2002年に「土壌汚染対策法」が国会で成立し、2003年に施行される運びとなりました。

土壌汚染の見えにくさと影響の深刻さが制度の立法背景にあり、調査や管理の法的枠組みが求められたのです。

土壌汚染対策法の基本的な目的

土壌汚染対策法の目的は、土壌汚染による人の健康被害を未然に防ぐことにあります。具体的には、汚染の可能性がある土地に対して調査を行い、必要に応じて除去や封じ込めなどの措置を講じることで、地下水や農作物などを通じた間接的な健康被害を抑えることが目的です。

汚染が確認された土地については「指定区域」として登録・管理し、将来的な土地利用においても適切な対応がなされるよう仕組みが整備されています。これにより、土地所有者や利用者、周辺住民が安心して暮らせる環境づくりを法的に支える体制が構築されています。

この法律は汚染の発見・報告から、改善措置、情報公開に至るまでを一貫して規定しており、国民の安全と環境保全の両立を実現することがもう一つの大きな目的です。

土壌汚染対策法の対象になる土地とは?

土壌汚染対策法では、すべての土地が対象となるわけではありません。対象となるのは、有害物質の使用履歴がある土地や、人の健康被害が生じるおそれがあると判断された土地など、一定の条件を満たした場合に限られます。

この見出しでは、法律上対象となる主な土地の種類と、それぞれに求められる調査・届出義務について解説します。

有害物質使用施設の跡地は調査義務の対象

過去に有害物質を使用していた施設の跡地は、土壌汚染調査の義務対象となります。具体的には、「水質汚濁防止法」に定められた有害物質使用特定施設(例:メッキ工場、化学薬品工場など)が該当します。

有害物質使用特定施設が廃止された場合、土地の所有者や管理者は、指定調査機関による調査を実施し、その結果を都道府県知事に報告する義務があります。

なお、健康被害の恐れがないと知事に認められた場合は、調査義務が免除されることもあります。

健康被害が懸念される土地は知事の判断で調査命令

土地に有害物質が存在し、人の健康に被害が及ぶおそれがあると都道府県知事が判断した場合、その土地の所有者等に対して、強制的に調査を命じることが可能です。

この場合は、過去の利用履歴に関係なく調査対象になる点が特徴です。例えば、周辺地域の地下水や農作物に影響が出ている場合や、工事中に汚染が発覚した場合などが該当します。

行政が調査命令を出すと、正当な理由がない限り指定調査機関による調査と報告が義務化されるため、無視することはできません。

土地の形質変更を予定している場合の対象条件

土地の掘削、盛土、造成などの形質変更を予定している場合も、一定の条件を満たせば土壌汚染対策法の届出対象となります。特に注意が必要なのは、すでに「要措置区域」または「形質変更時要届出区域」に指定されている土地です。

区域内の土地では、工事を行う30日前までに都道府県知事への届出が義務付けられており、施行方法に問題があると判断された場合は変更命令が出されることもあります。

届出を怠ると、行政指導や原状回復命令の対象となる場合があるため、工事業者や不動産事業者は必ず確認を行う必要があります。

すでに指定区域となっている土地の確認方法

土壌汚染が確認され、法に基づいて正式に区域指定された土地は、「指定区域」として公示・管理されています。指定区域には、主に以下の3種類があります。

  • 要措置区域
  • 形質変更時要届出区域
  • 条例に基づく対策区域一覧

上記の指定区域は、各都道府県の環境保全課や行政の土壌汚染区域台帳などで公開されており、誰でも閲覧が可能です。不動産売買や開発前には、必ず対象地の指定有無を確認しておくことがリスク回避につながります。

参考例:要措置区域等の指定状況|土壌汚染対策法|東京都環境局

土壌汚染対策法における手続きの流れと届出のポイント

土壌汚染対策法では、調査から行政報告、指定区域の扱いや工事の実施に至るまで、複数の手続きが段階的に定められています。義務を怠れば罰則の対象にもなるため、正しい流れと届出のタイミングを把握することが重要です。ここでは、手続きごとのポイントを順を追って解説します。

土壌汚染の調査を行うための基本手続き

土壌汚染の調査は、主に「有害物質使用特定施設が廃止された土地」や「知事が健康リスクを認めた土地」で義務づけられています。調査は環境省が指定した指定調査機関に依頼し、地歴調査を実施します。

その結果、リスクが高いと判断された場合は、現地で土壌概況調査や土壌詳細調査(表層土壌調査やボーリング調査)へと進みます。事業者は、対象となる土地を把握し、早い段階で調査機関に相談・見積もりを取ることが推奨されます。

調査結果の報告方法と行政への提出義務

調査が完了したら、報告書を作成して都道府県知事へ提出する必要があります。報告書には、対象地の所在地や調査範囲、分析結果、有害物質の濃度、汚染の範囲などを記載します。

提出は、基本的に調査を実施した指定調査機関が代行することが多いですが、土地所有者・事業者側も内容を理解しておくことが重要です。

指定区域に関する通知と公示の流れ

調査の結果、土壌が環境基準を超えて汚染されていると認められた場合、都道府県知事が「指定区域」としての指定・公示を行います。

この区域指定には2種類あり、健康被害が懸念される土地は「要措置区域」、汚染の程度が軽微であっても一定の制限が必要な土地は「形質変更時要届出区域」に分類されます。

指定された情報は台帳として公開され、誰でも閲覧可能です。指定区域となると、以後の土地利用や工事に法的制約がかかるため、通知後の対応が重要になります。

H3.土地の形質変更を行う際の届出手続き

指定区域となった土地で掘削・盛土・建設などの工事を行う場合、着手の30日前までに都道府県知事へ届出が必要です。

提出書類には、工事の内容、期間、施工方法、使用機材などを詳細に記載する必要があり、不備があると受理されない場合もあります。知事が工事方法に問題があると判断すれば、計画の変更命令が出されることもあるため、指定調査機関と協力して準備することが重要です。

土壌汚染対策工事を実施する際の手続き

汚染が確認された土地では、汚染除去や封じ込めなどの対策工事を実施する必要があります。これらの工事は、「措置命令」が出された場合は強制力を持ち、命令対象者(通常は土地所有者または汚染原因者)が実施義務を負います。

工事には、掘削除去、原位置浄化、囲い込みなどの工法があり、内容に応じて事前協議や報告書の提出、モニタリング計画の提出が必要になります。行政と連携しながら、工程や安全管理に関する手続きを段階的に進めることが大切です。

土壌汚染対策法に違反するとどうなる?罰則やリスクを解説

土壌汚染対策法では、特定の条件下で土壌調査や行政への届出、汚染除去などが義務付けられており、怠ると罰則や行政処分の対象となります。

さらに、違反によって企業の信用や不動産価値にも深刻な影響を及ぼします。この見出しでは、具体的な違反事例や法律上の罰則、実務的な企業への影響を詳しく解説し、トラブルを未然に防ぐためのポイントまで紹介します。

調査義務違反で科される行政処分の罰則

土壌汚染対策法では、有害物質を扱う施設が廃止された土地や、健康被害の恐れがあると判断された土地に対して、都道府県知事の命令により土壌調査を実施し、その結果を報告する義務があります。

命令に違反した場合、土壌汚染対策法第65条に基づき、1年以下の懲役または100万円以下の罰金罰則が科される可能性があります。

また、調査を行うのは指定調査機関に限られており、無資格業者による調査結果を提出しても無効とされるため、調査先の選定にも注意が必要です。

土地の形質変更時の無届出行為の問題

要措置区域や形質変更時要届出区域に指定された土地では、掘削や盛土、舗装などの形質変更を行う場合、土壌汚染対策法第12条に基づき事前に(十四日前までに)届出を提出しなければなりません。
※一部例外あり

この届出を怠ると、次のような問題や罰則が発生します。

  • 3月以下の懲役又は30万円以下の罰金
  • 措置命令(届出に基づく計画の中止または修正が命じられる)
  • 計画変更命令(無断で汚染土壌を動かした場合、施工方法の変更を命じられる)

さらに、違反の記録が行政に残ることで、今後の土地活用や開発許可申請の審査に影響を及ぼす可能性も否定できません。

違反による企業の信用への影響

法令違反は、単なる行政手続きのミスでは済まされず、企業のブランドや信用に直接的な悪影響を及ぼします。

たとえば以下のようなリスクが考えられます。

  • 近隣住民とのトラブル発展
  • 取引先・金融機関からの評価低下
  • 株主や投資家からの批判

特に現代では、環境対応への姿勢が企業評価に直結する時代です。土壌汚染対策を軽視すれば、企業全体の競争力にも影響を及ぼしかねません。

トラブルを防ぐために事前にできる対策とは?

上記のようなリスクを回避するためには、事前の法令理解と、土地利用前の段階での土壌汚染調査が重要です。

  • 開発・売買前に地歴調査と土壌汚染リスクの有無を確認
  • 該当する場合、指定調査機関による調査を早期に依頼
  • 行政との連携を取りながら、必要な届出・申請を確実に実施
  • 汚染の可能性がある土地については、契約書に負担区分を明示しておく

加えて、社内で環境法務の担当者を明確にし、調査〜対策までのフローを整備することも、組織的なリスク管理として非常に大切です。

土壌汚染調査はどう進める?流れを簡単に解説

土壌汚染調査は、対象地に有害物質が存在するかを調査し、健康や土地利用の影響を判断するために行います。基本的な流れは、地歴調査で過去の土地利用や汚染リスクを文献などから確認します。その結果、必要に応じて表層土壌調査やボーリング調査などの現地調査を行います。

調査は環境省の指定調査機関によって実施され、結果に基づいて行政への報告や、除去・封じ込めといった対策が必要になる場合もあります。費用や調査内容は土地の規模や汚染リスクによって大きく異なるため、目的に応じた計画的な進行が重要です。

土壌汚染調査の詳細や費用に関して知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

土壌汚染調査の費用はいくら?種類別の目安と費用を抑えるポイント

土壌汚染対策法に関するよくある質問

土壌汚染対策法をより理解するために、以下よくある質問を確認してください。最後まで見れば、面積の基準や立入禁止などの詳細が理解できるでしょう。

土壌汚染対策法にはどんな種類の土地区域がありますか?

土壌汚染対策法では、調査の結果に応じて主に以下2つの指定区域があります。

  • 要措置区域:汚染により健康被害のおそれがある土地
  • 形質変更時要届出区域:健康リスクは低いが掘削などを行う際には事前の届出が必要な土地

土壌汚染対策法で対象となる面積の基準はありますか?

一部の届出や手続きにおいて、面積基準が設けられています。

  • 土地の形質変更を行う場合、土地の面積が3,000㎡以上であると、原則として届出が必要
  • 土壌調査義務の免除を受けた土地は、1,000㎡以上の形質変更で届出義務が発生
  • 900㎡未満の土地の形質変更は、多くの場合で届出不要

※この基準は、土壌汚染対策法第3条・第4条およびその施行規則に基づいて定められています。

なお、面積の基準に加えて、土地の過去の利用履歴や有害物質の使用有無などの事情も、調査命令や区域指定の判断材料となります。

様々な状況によっても変わるため、詳細は以下を御覧ください。

土壌汚染対策法に関する Q&A(令和4年7月1日)|環境省

土壌汚染対策法で「立入禁止」とはどういう意味ですか?

立入禁止とは、要措置区域に指定された土地のうち、汚染によって人の健康被害が生じるおそれが高い場合に、都道府県知事が立入制限などの措置を命じる制度です。

立入禁止措置は、主に立ち入りなどの接触によって有害物質が飛散・摂取防止の目的で実施されます。

土壌汚染の不安があるなら、指定調査機関のラボテックに相談!

土壌汚染対策法は、土地の所有者や利用者が適切な調査・対策を行うことで、健康被害や社会的責任を回避するために定められた法律です。違反すれば行政処分や罰則に加え、企業信用や資産価値にも大きな影響を与えかねません。

とくに、有害物質を扱う施設の跡地、再開発予定地、土地の売買・相続を控えるケースでは、早期の調査と適切な専門機関への相談が重要です。

ラボテック株式会社は、環境省より正式に指定を受けた指定調査機関(指定番号:環 2003-6-1019)です。地歴調査から概況・詳細調査、行政への報告対応まで、豊富な実績と専門知識でサポートしています。土壌汚染の不安や調査なら一度ぜひご相談ください。

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