土壌汚染調査の費用はいくら?種類別の目安と費用を抑えるポイント

工場跡地や埋立地など、過去に特定有害物質を使用した可能性がある土地では、土壌汚染が疑われる場合があります。土壌汚染を放置すると、健康被害や環境汚染、資産価値の低下につながるリスクがあるため、早期の調査が重要です。

この記事では、土壌汚染調査の費用について、調査の種類ごとの費用相場や費用に影響を与える要因をわかりやすく解説します。

さらに、汚染が発覚した際の対策費用の目安や、安心して依頼できる調査会社の選び方についても説明します。

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土壌汚染調査とは?必要性と目的

土壌汚染調査は、土地における特定有害物質の存在やその濃度を把握し、健康被害や資産価値への影響など、汚染リスクを明確にするために行われます。汚染状況を事前に把握することで、健康被害や環境汚染、土地利用の制限などの問題に対して適切な対処をできるようになります。


また、汚染リスクがある土地は、浄化に要する費用や土地利用上の制約から資産価値が低下し、不動産売買や金融機関の融資評価にも影響を与えます。そのため、土壌汚染調査は土地売買の際や金融機関による担保評価の際にも重要な役割を果たします。


土壌汚染調査を早期に実施することは、土地の活用方法に応じた適切な対策を立てるうえで有益です。事前の調査により具体的な対策費用が把握できれば、見積もりの妥当性についても判断しやすくなり、後のトラブルを回避することにも役立つでしょう。

土壌汚染調査の種類と費用の目安

土壌汚染調査は、土地の状況や調査目的に応じて、主に「地歴調査」「表層調査・表層土壌調査」「ボーリング調査」の3種類に分けられます​。

それぞれの調査内容と費用の相場、費用が変動する主な要因は以下のとおりです。

 

調査方法内容費用の目安費用の主な変動要因
地歴調査登記簿、公的資料、ヒアリング等により土地の利用履歴や汚染リスクを確認​。約10万~30万円調査範囲の広さ、収集する資料の種類や量、行政対応の必要性
表層土壌汚染調査・土壌ガス調査表層の土壌サンプルを採取し、土壌中の特定有害物質の有無・濃度を分析​。約10万~30万円/地点調査地点数、分析対象物質数、土地の被覆状況
ボーリング調査ボーリングマシンを用いて深度方向に掘削し、地下の土壌や地下水の汚染状況を分析​。約20万~80万円/地点ボーリング深度、調査地点数、土質、分析物質数

調査費用は、調査を行う土地の面積や深さ、特定有害物質の使用履歴、分析項目の多さなどで大きく変動します。そのため、調査前に目的や範囲を明確にすることが重要です。

地歴調査

土壌汚染調査の最初のステップとして行われるのが「地歴調査」です。地歴調査では、登記簿や住宅地図、過去の航空写真や古地図、さらには行政機関や土地に詳しい関係者へのヒアリングなどを通じて、対象地の過去の利用履歴や汚染リスクを確認します​。

この調査では、文献や資料を用いて調査対象地の利用履歴や汚染原因を特定するため、原則として土壌サンプルの採取は行われません。費用の目安はおおよそ10万~30万円程度で、調査範囲の広さや収集する資料の種類、行政への対応の有無によって変動します​。

 表層土壌汚染調査・土壌ガス調査

地歴調査の次の段階として、実地で土壌汚染の有無を確認する場合には、「表層土壌汚染調査」や「土壌ガス調査」が実施されます。

表層土壌汚染調査は、表層部分(地表付近)から土壌を採取して特定有害物質の濃度を分析する調査です​。

一方、「土壌ガス調査」は、地下にある揮発性有機化合物(VOCs)などの有害物質を土壌中のガスを吸引することで検出する調査です​。

これらの調査費用は、調査地点の数や対象物質の種類、調査エリアが舗装やコンクリートで被覆されているかどうかなどにより変動します。費用の目安は、調査地点あたり20万〜60万円程度となるのが一般的です。

ボーリング調査

土壌汚染の範囲や深さをより正確に把握する必要がある場合、「ボーリング調査」が実施されます。

ボーリング調査は、専用の機械を用いて地下深くまで掘削を行い、土壌や地下水のサンプルを採取して分析する調査方法です​。これにより、汚染の深さや範囲、地下水への影響をより詳細かつ正確に確認できます。

費用の目安は、調査地点1か所あたり20万~80万円程度で、掘削深度や調査箇所の数、対象とする有害物質の種類、土地の広さなどによって大きく変動します。

土壌汚染対策工事の費用の目安

土壌汚染が判明した場合には、土地の利用状況や汚染状況に応じた適切な対策工事が必要になります。代表的な対策工法には「掘削除去」「オンサイト(現地)浄化」「原位置浄化」などがあります​。それぞれの工法の概要と費用の目安は以下のとおりです。

対策工法費用の目安概要
掘削除去約3〜5万円/㎥​​汚染土壌を掘削して除去し、良質な土壌に入れ替える方法。費用は掘削深度や処分先によって変動。
原位置浄化(封じ込め・不溶化)約数千円〜3万円/㎥​土壌を掘削せずに、舗装や盛土、薬剤注入による不溶化処理等で汚染物質の拡散を防止する方法。掘削除去より低コストで施工可能。
オンサイト浄化(現地浄化)約2〜4万円/㎥敷地内にプラントを設置し、掘削した土壌を現地で浄化・処理して再利用する方法。装置の設置費や維持管理費が発生する。

掘削除去

ボーリング調査などにより土壌汚染が判明した場合、最も一般的に行われる対策方法が「掘削除去」です。掘削除去とは、汚染土壌を重機で掘削し、場外の適切な処分場へ運搬・処分した後、良質土で埋め戻す方法です​。

対策費用は土工事・運搬・処分費用を含めて1立方メートルあたり約3〜5万円が目安となります​。費用は、掘削する土壌の量や汚染の深さ、処分場までの運搬距離などによって大きく変動します。また、コンクリート舗装や建築物などを撤去する必要がある場合には、その撤去費用や工期が増加するため、さらにコストがかさむことに留意が必要です。

原位置浄化

原位置浄化は、汚染土壌を掘削することなく、現地において汚染物質を浄化する方法です。具体的には、地下の汚染物質を地下空気吸引(ガス吸引法)、薬剤注入による化学分解、微生物分解、揚水ばっ気などの技術を用いて、段階的に浄化を進めます​。


費用の目安は1㎥あたり約2〜3万円とされており、掘削除去と比べると低コストで対応可能ですが​、浄化期間は比較的長くなる傾向があります。また、汚染の深度や土壌の透水性、汚染物質の性質などによって適用可能な技術や期間が変わるため、事前の専門的な調査やシミュレーションが重要になります。


さらに、原位置浄化では対策終了後も一定期間(通常は2年間)のモニタリングを実施し、汚染の除去が確実に行われたかを確認する必要があります​。

オンサイト浄化


オンサイト浄化は、汚染された土壌を掘削した後、現地に設置した専用のプラントや浄化装置を用いて、その場で浄化処理を行い、処理後の土壌を再利用する方法です​。掘削除去と比べて土壌の場外処分費用が削減できる反面、設備の導入や維持管理費用が発生します。


費用の目安は1立方メートルあたり約3~5万円ですが、設備の導入規模や維持管理期間によって大きく変動します​。


また、汚染物質の種類や土壌の透水性によって浄化効率が左右されるため、事前に専門家による適用性の検討や、処理計画の適正な策定が求められます​。

土壌汚染調査費用の負担者について

土壌汚染調査や対策にかかる費用は、原則として原因者(汚染を引き起こした事業者や土地所有者)が負担することになっています​。


ただし、土地売買の際には必ずしも売り主が対策費用を負担するとは限りません。不動産取引の実務では、土地の用途や汚染の程度、売り主・買い主間の協議によって費用の負担割合が柔軟に決められるケースもあります​。


特に、売買成立後に新たな汚染が発覚するなどのトラブルを回避するためには、契約時点で「汚染調査・対策費用の負担割合」や「瑕疵担保責任の範囲」を特約として明確に定めることが重要です​。

土壌汚染調査を検討する際の注意点

土壌汚染調査を検討する際は、調査費用が調査範囲の広さや調査地点数、掘削深度、分析対象物質の種類、被覆状況、行政対応の有無など、複数の要素により大きく変動することに注意が必要です​​。


また、調査の品質は価格に必ずしも比例するわけではないため、複数の調査機関から見積もりを取得し、単に費用だけでなく調査方法の妥当性や報告書の信頼性を十分に比較検討することが重要です​。


見積書を確認する際は、「調査の対象範囲・箇所数」「ボーリングの本数や掘削深度」「分析項目」「行政との協議・報告対応の有無」「報告書作成費用」などの内容が明確に記載されているかをしっかりと確認しましょう​。

まとめ

土壌汚染調査の費用は、地歴調査から表層調査、ボーリング調査へと進むにつれて大きくなります​​。また、調査で汚染が判明した場合は、掘削除去や原位置浄化などの対策工事が必要になることもあり、費用は汚染の範囲や深度、対象となる有害物質の種類、土地の条件によって大きく変動します​​。


そのため、不動産売買や土地の有効活用を考える事業者にとっては、早期に土壌汚染リスクを把握し、適切な調査や対策費用をあらかじめ想定しておくことが重要です。また、土地売買契約においては、調査・対策費用の負担方法や瑕疵担保責任の範囲などを契約時点で明確にしておくことで、将来的なトラブルを防ぐことができます​。


費用面での不安や疑問がある場合は、複数の指定調査機関から見積もりを取得し、調査内容や範囲、報告書の信頼性を十分に比較検討することをおすすめします。必要に応じて第三者の専門家を交えて客観的に評価することも、納得できる調査や対策を選択する上で有効です​。

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