土壌調査の採取方法を解説|注意点まで徹底紹介
投稿日:2026.02.10
土壌調査を行ううえで、意外と見落とされやすいのが「土の採取方法」です。どれだけ精密な分析を行っても、採取した土が調べたい場所や深さを正しく反映していなければ、結果の信頼性は下がってしまいます。
農地の成分確認はもちろん、工場跡地や建設予定地の安全確認など、土壌調査が必要になる場面はさまざまです。
本記事では、土壌調査の基本的な採取方法を分かりやすく解説し、失敗しやすい注意点や正確に進めるコツまで紹介します。
土壌調査とは?採取方法が重要な理由
土壌調査とは、土地の土を採取して分析し、成分の状態や汚染の有無などを把握する調査です。農地の土づくりや、工場跡地・建設予定地の安全確認など幅広い場面で活用されます。重要なのは「採取方法」で、採取地点や深さ、採取時の管理が適切でないと、分析結果が正しくても実態を反映しない可能性があります。土壌調査は採取の段階で精度が左右されるため、目的に合った方法で採取することが欠かせません。
土壌調査で分かること(例:成分・汚染・地盤関連)
土壌調査では、土の性質や含まれる成分を数値で把握できます。農地や家庭菜園では、pHや養分バランスを確認し、肥料設計や生育不良の原因分析に役立ちます。
工場跡地や事業用地では、重金属や油分などの汚染物質の有無を調べ、土地利用の安全性判断につながります。また建設関連では、土の締まりやすさや水分の影響など、施工計画に関わる情報を得られる場合もあります。目的により調査項目が変わるため、事前整理が重要です。
採取方法を間違えると起こる問題
採取方法を誤ると、土壌調査の結果が実態とズレる恐れがあります。例えば土地全体を調べたいのに1か所だけ採取すると、偏ったデータになり判断を誤ります。採取深さが不適切だと、表層の特徴が薄まったり、深部の汚染を見逃したりする原因になります。
また器具の汚れや別地点の土の付着による混入が起きると、誤検出や過小評価につながることもあります。正確な調査のためには、採取地点・深さ・管理を揃えることが重要です。
土壌調査の採取方法は主に2種類(表層・深度)
土壌調査の採取方法は、大きく「表層土の採取」と「深度別採取」の2種類に分かれます。表層土は地表付近の土を対象とし、農地や造成地の状態確認などで用いられることが多い方法です。
一方、深度別採取は地中の一定深さごとに土を採取し、汚染の広がりや地層の違いを確認する際に必要になります。調査目的によって適切な採取方法が異なるため、事前に「何を確認したいのか」を明確にすることが重要です。
表層土の採取(0〜数cm〜20cm目安)
表層土の採取は、地表から数cm〜20cm程度までの土を採取する方法です。農地や畑では作物の根が張る範囲に近く、肥料成分やpHなどの把握に適しています。
採取時は落ち葉や石、ゴミなどを除去し、指定した深さを揃えて土を取ることがポイントです。また、1地点だけでなく複数地点から採取して混合することで、土地全体の傾向を把握しやすくなります。採取袋への入れ間違いや器具の汚れによる混入を防ぐため、清潔な道具を使用しましょう。
深度別採取(ボーリング等が必要なケース)
深度別採取は、地中の深さを分けて土を採取し、層ごとの状態を確認する方法です。工場跡地などで汚染が疑われる場合、表面だけでは判断できず、一定深さで汚染物質が検出されるケースもあります。
そのため、深度ごとに採取して分布を把握することが重要です。深い位置の採取にはオーガーやボーリングなど専用機材が必要になり、採取時の崩れや混入を防ぐ技術も求められます。精度を確保するため、専門業者への依頼が推奨される場面が多いです。
【手順】土壌調査の採取方法(基本の流れ)
土壌調査の精度を高めるには、正しい手順で採取することが重要です。採取地点を適切に選び、地表の異物を除去したうえで、指定の深さまで掘り揃えて土を採取します。その後、袋や容器に入れて混入を防ぎ、必要に応じて複数地点の土を混合します。
採取した土はラベルで管理し、採取状況を記録することで後から確認しやすくなります。最後に、品質を保つため適切な保管・搬送を行うことが基本の流れです。
手順1:採取地点を決める(代表性を確保)
最初に行うのが採取地点の決定です。土壌は同じ土地でも場所によって性質が変わるため、目的に合った代表性のある地点を選ぶ必要があります。
例えば畑なら全体を均等に分けて複数点から採取し、工場跡地なら薬品保管場所や排水周辺などリスクが高い箇所も対象にします。採取地点が偏ると結果も偏るため、土地の利用履歴や地形を確認しながら計画的に決めることが重要です。
手順2:地表の異物を除去する(落ち葉・石・ゴミ)
採取前に、地表にある落ち葉・石・ゴミ・草などの異物を取り除きます。これらが混ざると、本来の土壌成分とは異なる影響が出たり、分析値がブレたりする原因になります。
特に有機物が多い状態で採取すると、土の状態を正確に評価しづらくなる場合があります。表面を軽く整えてから採取することで、土そのものを採取しやすくなり、調査結果の信頼性も高まります。
手順3:指定深さまで掘る(深さを揃える)
次に、調査目的に合わせた指定深さまで掘ります。表層土の調査では数cm〜20cm程度が目安ですが、深さが揃っていないと比較が難しくなり、結果の解釈が不安定になります。
例えば浅い土と深い土を混ぜてしまうと、表層の特徴が薄まり、必要な情報が得られないこともあります。採取時はメジャーなどで深さを確認し、複数地点でも同じ深さで採取することが大切です。
手順4:土を採取して袋へ入れる(混入を防ぐ)
掘り出した土は、清潔な道具で採取し、すぐに袋や専用容器へ入れます。ここで重要なのが混入を防ぐことです。器具に別地点の土が付いたままだと成分が混ざり、正確な分析ができなくなる恐れがあります。
採取袋も汚れやすいため、密閉できる袋を用意し、地面に直接置かないなど管理に注意しましょう。採取量が不足しないよう、必要量を事前に確認しておくことも重要です。
手順5:複数地点の土を混ぜる/混ぜないの判断
土壌調査では、複数地点の土を混ぜて「代表試料」として分析する場合があります。畑全体の傾向を把握したいときは混合が有効で、土地の平均的な状態を確認しやすくなります。
一方、汚染調査や異常の原因特定が目的の場合は、混ぜると問題箇所が薄まり、発見しにくくなるため注意が必要です。
目的に応じて、混合するか地点別に分けるかを判断し、採取計画に反映させましょう。
手順6:ラベル管理・記録(写真があると良い)
採取後は、袋や容器にラベルを貼り、採取地点・採取日・深さなどを明確に記録します。複数地点を採取する場合、ラベルが曖昧だとどの土か分からなくなり、調査結果を正しく活用できません。
さらに、採取場所を写真で残しておくと、後から位置関係を確認できるため便利です。簡単なメモでもよいので、採取条件を揃えた証拠として記録を残すことが、調査の信頼性を高めるポイントになります。
手順7:保管・搬送(温度・時間・密閉)
採取した土は、分析までの保管・搬送方法にも注意が必要です。袋や容器はしっかり密閉し、外気に触れて乾燥したり、水分が変化したりしないよう管理します。高温の車内などに長時間放置すると、土の状態が変わり結果に影響する可能性もあります。
できるだけ早く分析機関へ提出し、保管が必要な場合は直射日光を避けて涼しい場所に置くことが基本です。適切な管理が正確な調査につながります。
採取方法の注意点|失敗しやすいポイント
土壌調査は採取の精度が結果に直結するため、よくある失敗を事前に把握しておくことが重要です。特に多いのが、採取袋や容器の選定ミス、採取量不足、採取場所の偏り、器具の汚れによる混入です。
さらに雨の日や雨上がり直後は土の水分量が変化し、分析結果の比較が難しくなる場合があります。正しい採取手順を守るだけでなく、周辺環境や管理方法まで意識することで、土壌調査の信頼性を高められます。
採取袋・容器の選び方(密閉性・清潔さ)
採取袋や容器は、土壌を外気から守り、状態を維持するために重要です。基本は密閉できるチャック付き袋や専用容器を使用し、採取後すぐに封をして乾燥や異物混入を防ぎます。
再利用した袋や汚れた容器を使うと、別の成分が混ざり分析値が変わる恐れがあるため避けましょう。また、袋が薄いと破れやすく、搬送中に漏れるリスクもあります。採取地点ごとに袋を分け、ラベル記入できるタイプを選ぶと管理もしやすくなります。
採取量が不足するケース
採取量が不足すると、必要な分析ができなかったり、再採取が必要になったりする可能性があります。
特に複数項目を測定する場合、想定以上の量が必要になることがあるため注意が必要です。採取量が少ないと試料が均一になりにくく、分析結果が安定しない原因にもなります。
採取前に分析機関や依頼先へ必要量を確認し、余裕を持って採取することが大切です。袋に詰め込みすぎると密閉しにくいため、複数袋に分ける方法も有効です。
採取場所が偏るケース(1点のみ採取など)
採取場所が偏ると、土壌調査の結果が土地全体を正しく反映しません。例えば畑の一部だけ採取すると、肥料の入り方や水はけの差によって成分が偏り、全体の判断を誤る恐れがあります。
事業用地でも、過去の利用状況により汚染リスクが場所ごとに異なる場合があります。代表性を確保するには、土地を区画ごとに分けて複数地点から採取することが基本です。目的が平均把握なのか、問題箇所の特定なのかを整理し、採取計画を立てましょう。
スコップの汚れによる混入(クロスコンタミ)
スコップや採取器具に付着した土が原因で、別地点の成分が混ざる「クロスコンタミ」が起きることがあります。特に汚染調査では微量成分を測定するため、わずかな混入でも結果に影響する可能性があります。
採取地点を変えるたびに器具を清掃し、可能であれば使い捨て手袋も交換するのが理想です。
また、採取した土を置くバケツやトレーも汚れていると混入源になるため注意が必要です。器具を清潔に保つことは、正確な土壌調査の基本条件と言えます。
雨の日・直後の採取で水分が変わる問題
雨の日や雨上がり直後に採取すると、土の水分量が通常より増え、分析結果の比較が難しくなる場合があります。水分が多いと土がまとまりやすく、採取量の調整がしにくいだけでなく、乾燥後に性質が変わることもあります。
また、雨水によって表層の成分が一時的に移動し、普段の状態と異なるデータになる可能性も否定できません。可能であれば天候が安定した日に採取し、どうしても雨天になる場合は採取条件を記録しておくことが重要です。
まとめ
土壌調査は、土地の状態を正しく把握するために欠かせない調査ですが、結果の信頼性は採取方法に大きく左右されます。採取地点の選び方や深さの統一、異物除去、混入防止、ラベル管理、保管・搬送までを丁寧に行うことで、分析結果の精度が高まります。
また、採取袋の選定ミスや採取量不足、場所の偏り、雨天時の水分変化などは失敗の原因になりやすいため注意が必要です。目的に合った採取方法を選び、不安がある場合は専門業者へ相談することが確実です。











