土壌汚染対策法の基準とは?基準値の考え方・注意点を解説

土壌汚染対策法では、土壌に含まれる有害物質が基準値を超えているかどうかをもとに、調査や対策の必要性を判断します。

しかし「基準値を超えたら必ず掘削除去が必要なのか」「基準以下なら安全と言えるのか」など、基準の捉え方で迷うケースも少なくありません。実際には、区域指定の考え方や土地利用の状況によって必要な対応は変わります。

本記事では、土壌汚染対策法における基準の基本から、基準超過時の流れ、よくある誤解や注意点まで分かりやすく解説します。

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土壌汚染対策法とは

土壌汚染対策法とは、土壌に含まれる有害物質による健康被害を防止することを目的とした法律です。工場跡地や事業用地など、過去の土地利用によって土壌汚染の可能性がある土地を対象に、調査や対策の進め方が定められています。

一定規模の土地の形質変更(掘削など)を行う場合や、有害物質使用特定施設があった土地などでは、状況に応じて調査が求められることがあります。基準を超過した場合は、区域指定や必要な措置を行い、リスクを管理しながら土地利用を進めることが重要です。

土壌汚染対策法における「基準」とは

土壌汚染対策法における「基準」とは、土壌に含まれる有害物質が人の健康に影響を及ぼすおそれがあるかどうかを判断するための目安です。土壌汚染は目視では分かりにくく、土地の利用状況や将来の工事内容によってリスクの出方も変わります。

そのため、一定のルールに基づいて数値で評価できる基準が設けられています。基準を超過した場合は、区域指定や必要な対策を検討し、汚染によるリスクを管理しながら土地利用を進めることが重要になります。

 

基準は何のためにある?(判断の目安)

基準が設けられている目的は、土壌汚染による健康リスクを客観的に評価し、必要な対応を判断できるようにするためです。土壌汚染が確認されたとしても、状況によってはすぐに大きな影響が出るとは限りません。

一方で、地下水へ影響する可能性がある場合や、人が土に触れる機会が多い土地ではリスクが高くなります。こうした判断を曖昧にしないために、基準をもとに調査結果を整理し、対策の要否や優先順位を決めることが求められます。

「土壌含有量基準」とは

土壌含有量基準とは、土壌そのものに含まれる有害物質の量を基準として評価する考え方です。土の中にどれくらい有害物質が含まれているかを把握することで、直接摂取や粉じんの吸入などによる健康リスクを判断する材料になります。

含有量基準は、土壌中に汚染物質がどの程度残っているかを示す指標として重要で、掘削工事や土地利用の変更を行う際の判断にも関わります。溶出量基準とは評価の視点が異なるため、目的に応じた理解が必要です。

 

「溶出量基準」とは

溶出量基準とは、土壌に含まれる有害物質が水に溶け出した場合に、どれくらいの濃度になるかを基準として評価する考え方です。土壌中の有害物質が地下水へ移動し、飲用や生活利用に影響するリスクを想定して設定されています。

土の中に含まれている量が少なくても、溶け出しやすい性質の物質であれば地下水への影響が問題になることがあります。溶出量基準は、地下水汚染や周辺環境への影響を判断するうえで重要な指標となります。

基準の種類と考え方(溶出量基準・含有量基準)

土壌汚染対策法では、土壌汚染のリスクを評価するために「溶出量基準」と「含有量基準」という異なる視点の基準が設けられています。溶出量基準は地下水などへの移行リスクを重視し、含有量基準は土壌中にどれだけ有害物質が存在するかを重視します。

どちらの基準が重要になるかは、土地の利用方法や工事内容、汚染物質の性質によって変わります。基準を正しく理解し、状況に応じて適切な調査と対策を検討することが大切です。

溶出量基準の特徴(地下水・飲用リスク)

溶出量基準の特徴は、土壌中の有害物質が水に溶け出し、地下水へ移動するリスクを評価できる点です。地下水は飲用や生活用水として利用される場合があり、汚染が広がると影響範囲が敷地外に及ぶ可能性もあります。

そのため、溶出量基準は周辺環境への影響を含めたリスク判断に活用されます。特に地下水位が浅い土地や透水性が高い地盤では、汚染物質が移動しやすいため、溶出量の評価が重要になりやすいと言えます。

含有量基準の特徴(土の中の量)

含有量基準の特徴は、土壌中に残っている有害物質の量を直接的に把握できる点です。土壌中の濃度が高い場合、土に触れる機会がある土地利用では健康リスクにつながる可能性があります。

また、掘削工事や土地の形質変更を行う際に汚染土を移動させると、粉じんの発生や拡散のリスクが高まることもあります。含有量基準は、土壌汚染がどれくらい蓄積しているかを判断する指標として、対策工事の計画や処分方法の検討にも関わる重要な基準です。

どちらが重視されるかはケースによる

溶出量基準と含有量基準のどちらを重視すべきかは、土地の状況や利用目的によって変わります。例えば地下水への影響が懸念される場合は溶出量基準が重要になりやすく、土に触れる機会が多い土地利用や掘削を伴う工事がある場合は含有量基準の視点が重視されます。

また、対象となる有害物質の性質によっても、溶け出しやすさや残留しやすさが異なります。調査結果を正しく評価するためには、基準を単独で見るのではなく、現地条件と合わせて総合的に判断することが重要です。

基準値を超えたらどうなる?(措置・対応の流れ)

土壌汚染対策法の基準値を超過した場合は、状況に応じて区域指定や措置が必要になることがあります。基準超過=必ず掘削除去というわけではなく、汚染の種類や広がり、土地の利用方法によって適切な対応は異なります。

調査結果をもとに、健康被害が発生する可能性があるか、汚染が拡散するおそれがあるかを評価し、必要な対策を検討します。土地の形質変更や売買にも影響する場合があるため、早い段階で専門家に相談し、計画的に対応することが重要です。

区域指定(要措置区域・形質変更時要届出区域)

基準値を超過した場合、土地は状況に応じて区域指定されることがあります。区域指定には、健康被害を防止するために措置が必要となる「要措置区域」と、土地の形質変更を行う際に届出が必要となる「形質変更時要届出区域」があります。

区域指定されると、土地利用や工事の進め方に一定の制約が生じる場合があります。特に掘削や盛土などで土を動かす行為は、汚染の拡散につながる可能性があるため、事前の手続きや適切な管理が求められます。

対策の種類(掘削除去・封じ込め・舗装など)

土壌汚染の対策には複数の方法があり、状況に応じて選択されます。代表的なのは、汚染土を掘削して除去する方法ですが、コストや工期が大きくなる傾向があります。

一方で、汚染土を動かさずに封じ込める方法や、舗装・覆土によって人が汚染土に触れないようにする管理型の対策もあります。

どの対策が適切かは、汚染物質の種類、汚染深度、土地の利用計画によって変わるため、調査結果を踏まえて合理的に判断することが重要です。

土地売買や工事への影響

基準超過が確認されると、土地売買や工事計画に影響が出る可能性があります。例えば、売買の際に調査結果の説明が必要になったり、買主側が追加調査や対策を求めたりするケースがあります。

また、工事では掘削土の扱いに制限がかかり、処分方法や搬出管理が必要になる場合もあります。区域指定されている土地では、形質変更時の届出や管理が求められるため、工程や費用に影響が出ることもあります。後から問題が発覚すると計画が大きく崩れるため、早期に状況を把握しておくことが重要です。

基準に関するよくある誤解・注意点

土壌汚染対策法の基準は、あくまで健康リスクを評価するための判断基準であり、数値だけで単純に安全・危険を決められるものではありません。

基準以下でも土地条件によっては注意が必要な場合があり、逆に基準超過でも状況に応じて管理型の対策で対応できることもあります。また、調査方法が不適切だと正しい評価ができず、汚染の見逃しや誤判断につながる恐れがあります。基準を正しく理解し、調査設計から慎重に進めることが重要です。

基準以下でも「安全」とは限らない?

基準以下であっても、必ずしも完全に安全と言い切れるわけではありません。土壌汚染のリスクは、土地の利用方法や人が土に触れる頻度、地下水の利用状況などによって変わります。例えば、将来的に掘削工事を行う場合は、土を動かすことで新たなリスクが生じる可能性があります。

また、調査地点が少ない、採取深さが適切でないなど、調査条件によっては汚染を捉えきれていないケースも考えられます。数値だけで判断せず、土地条件も含めて総合的に評価することが重要です。

調査方法が不適切だと判断できない

土壌汚染調査は、採取方法や調査計画が不適切だと正しい判断ができません。採取地点が偏っていたり、メッシュが粗すぎたりすると、汚染が存在していても採取点に当たらず見逃す恐れがあります。採取深さが揃っていないと比較ができず、汚染分布の評価が不安定になります。

さらに、器具の汚れによる混入が起きると誤検出につながる可能性もあります。基準の評価は「正しい試料採取」が前提となるため、調査方法の精度が非常に重要です。

自主調査と法対応調査の違い

土壌汚染調査には、自主的に実施する「自主調査」と、土壌汚染対策法に基づいて対応する「法対応調査」があります。

自主調査は、土地売買や工事計画のリスク管理として行われることが多く、目的に応じて調査範囲や項目を柔軟に設定できます。

一方、法対応調査は、一定の条件に該当する場合に求められ、調査方法や報告の進め方にルールがあります。どちらを選ぶべきかは状況によって異なるため、目的と将来計画を整理したうえで進めることが重要です。

まとめ

土壌汚染対策法の基準値を超過した場合は、状況に応じて区域指定や措置が必要になることがあり、土地利用や工事計画、売買にも影響する可能性があります。対策は掘削除去だけでなく、封じ込めや舗装など複数の選択肢があり、汚染の種類や範囲、利用目的に合わせて判断することが重要です。

また、基準以下でも必ず安全とは限らず、調査方法が不適切だと汚染を見逃すリスクもあります。自主調査と法対応調査の違いを理解し、目的に合った調査設計と適切な対応を進めることが、トラブル回避とスムーズな土地活用につながります。

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